出版社内容情報
本物か贋物か──一枚の文書から十八世紀イギリスの、夭折の天才詩人にして稀代の偽作者トマス・チャタトンの謎にせまる傑作小説
内容説明
舞台はロンドン、現代美術の画廊、あるいは18世紀、天才詩人の屋根裏部屋、19世紀中葉、青年画家のアトリエ…。登場するは伝説の贋作者、剽窃の女流作家、大画家の代作者、ゴーストライター…。詩神(ミューズ)をめぐって、創造と模倣の輪舞(ロンド)がくり広げられる。真贋のせめぎあいをミステリー・タッチで活写した現代イギリス文学の傑作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
nac
3
★★★★2023/10/06
みさ
0
贋作作家チャタトンと、彼の絵を描いたヘンリー・ウォレスと、現代でゴーストライターをやっている売れない詩人が交差して話は進んでいく。真贋を巡る話なので、中世の修道士の作品として詩作する現代詩人、死んだ師匠名義で高額で自作を売る画家、過去の作品のネタを拝借して売れた小説家、ゴーストライター…と贋作のパターンも豊か。なお、真作と贋作の境目はどこにあるのか、才能や本物とは何かという哲学的なテーマに主眼が置かれているので、高尚な文学作品という意識で読まないと格調高さについていけない(ということに途中で気付いた)。2021/03/14