出版社内容情報
稀代の頭脳を持った人間嫌いの青年が、コンピュータを駆使して大衆を操ろうと企てた時……。現代を撃つ話題の俊秀の芥川賞受賞作
内容説明
人間嫌いの天才青年が、人工頭脳によって世界を捉え、支配しようと企てた、その時…。芥川賞受賞。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
みも
86
『わが美しのポイズンヴィル』112頁。『表層生活』106頁。2編収録。表題作は芥川賞受賞作。最近の芥川賞作家には稀有な、まさに純文学然とした筆致である。両作品とも平成元年の「文學界」掲載作であるが、ややもすると昭和40年代の作品かと錯覚を覚えるほど、良い意味でも悪い意味でも読者に迎合していない。インテリ然とした書きぶりもさることながら、独特の比喩を用いる事により読者を幻惑する作法なども、大江健三郎の系譜を継ぐと言えるのかも知れない。読み易くはないが難解ではない。両作品ともタイトルが端的に全体を包摂し秀逸。2019/10/14
大粒まろん
17
平易な文体、サクサク読めました。計算機は懸命に生きてる。だけど、報われないと言う現実に、自分の描いていた現実との齟齬を受け入れられない寂寥感のある人。知識を詭弁的に論じる人は嫌いじゃ無い。それが笑いに向くのか、悲なしみに向くか、まぁ、想い描いた現実を感じたいという想いは愛おしいとは思う。それでも出来れば笑いに向いて欲しい。命を軽んじても欲しいものは得られない。遠のくだけだ。しかし、森真子はなんのガジェット?女性蔑視してるだけなの笑。よろしくない。2023/06/18
OMO
2
面白さ:○ 興味:○ 読みやすさ:○ 新鮮さ:○ 文学的云々:△2023/04/22
TERRY
2
平成の初めに発表された難解な作品。ただ、今では当たり前過ぎて誰も気にかけない人工知能についての議論が面白いし、バブリーな女の子たちの様子も懐かしい。2019/01/07
メデスキ
2
表題作では“計算機”くんが、エネルギーをキーワードに無機的に、有機物である女、そして、イカれ気味な男に狂わされ、パラシュート。まあ、お金出して読みたくはない作品ではある。同時収録の「わが美しのポイズンヴィル」のほうが知識的に読める。が、楽園とかそっち方向に行くと、あー、始まったよ。的に集中力低下しました。