鍋の中

鍋の中

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  • サイズ B6判/ページ数 235p/高さ 19X14cm
  • 商品コード 9784163099606
  • NDC分類 913.6

出版社内容情報

その夏、少女は初めて大人の秘密にふれた。生きることのはかなさと哀しみを知った。思春期の少年と少女と老女の心の交流を巧に描く

内容説明

その夏、少女は初めて、大人の秘密にふれた。生きることのはかなさと、哀しみを知った。芥川賞受賞。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

tototousenn@超多忙につき、読書冬眠中。

84
『熱愛』とても奇妙な体験をした。気付くと私は作中に居た。私は主人公の“ぼく”と化していた。私はもう私ではなかった。オートバイに跨り海沿いの国道を走る“ぼく”だった。気持ちのいい遠心力に乗ってS字カーブをすれすれでクリアした。直線ではスピードに酔いしれた。いつまでも続くと思われたツーリングも、いつのまにか空が急に近くなった事に気付いてコースの終わりがきたことを知った。 そして気付けば、自宅の炬燵に戻っていた。 傍らには大いびきで寝そべる愛犬が居た。 ☆5.0 2021/01/21

おか

70
表題作の「鍋の中」は昭和62年 第97回芥川賞受賞作。この位の時期の芥川賞 読みやすい(笑)表題作は 祖母の家に集まった孫4人(大学生男1人、高校生女子2 男子1人)の一夏の生活。子供達より 私の目線はどうしても 祖母に向かう。大鍋の中で ぐつぐつ音を立てて 祖母の記憶が崩れていく、、、流石 芥川賞はこうでなくっちゃ( ◠‿◠ )「ゆうじょこう」も良かったけど この短編集も 其々良かった。「水中の声」は悲しすぎたが 「熱愛」はほっほーって言う題名の付け方だし 「盟友」も然り( ◠‿◠ )2019/03/01

なゆ

60
初期の4つの作品。村田さんの芥川賞受賞作を読んでみる。このころから、村田さん独特の浮遊感みたいのはチラチラしてたのだなとわかった。『鍋の中』の、夏休みをおばあちゃんの家で過ごす孫たちの話も、記憶が混乱しどこかザワザワする話だし、『水中の声』も危うさ満載で。なぜこのタイトルなのかと気になってしまう『熱愛』も、まさか…と思わされ続けるし。トイレ掃除にのめりこんでいく『盟友』だけが、落ち着いて楽しく読めた。ホラーじゃないのに、ヒヤッとかゾワッとか感じる、そんな雰囲気の作品だった。2015/10/15

yn1951jp

44
村田のふわふわと生と死の間を浮遊する感覚が心地よい作品集。フタの見つからない鍋の味噌汁の中にちいさくチラチラと動くお婆さんの思い出。おばあさんの鍋は怖い。ほんの二世代前のおばあさんの「生」の得体のしれなさ、この世とあの世の境にいるようなおばあさんとの夏休みが、「わたし」の存在をあいまいなものにしてゆく『鍋の中』。バイクで海と空の間を疾走し親友を喪失する『熱愛』。池で溺れた娘が水の中から歌う『水中の声』。そして、2015/01/14

クリママ

34
短編4編。「鍋の中」親が留守の間、兄弟、いとこたち4人が、祖母の家で暮らす。日常の出来事が、少しだけ思いがけない方向に展開していく。鍋の中にはいっているものは人生のいろいろで、それは腹の中に納めなければならない、のか。それぞれに印象的な短編集だった。2017/07/12

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