出版社内容情報
乳癌にかかりながら医療を拒否して、青桐の繁る家で自然な死を迎える叔母と、それを看取る姪。つのる叔母への思慕と幼時の体験に根ざす反発で揺れる姪の心を描く
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
hit4papa
35
両親が早世し、叔母に育てられた女性。叔母は、長らく故郷を離れ、実の息子である従兄の暮らす東京へ移り住んでいたが、主人公の住む元々は叔母の家であった離れへと戻ってくることになる。主人公は、叔母の残された時間が少ないことを知るのだった…。徐々に死に近づいていく叔母を前にした心苦しさと、自身の生き方を変えてしまった出来事への衝撃の狭間にあって、揺れ動く主人公の心模様。読み進めながら、主人公のいたたまれなさにざわめきます。どんよりした家族小説かと思いきや、主人公の心持に変化が訪れる成長小説の趣のあり。【芥川賞】2024/07/12
空猫
35
【第92回芥川賞】'80年代には日本人は自然と共に生き、死ぬことを止めていたのか。子供は外で遊ばなくなり、学歴重視になって。そこに起こる歪みに抵抗したのが表題作、巻き込まれたのが併載の『白い原』。癌になるも病院で治療も延命もせず生家で死を全うしようとした老女と世話をする顔に火傷を負った半引きこもりの女性の再生…。暗い要素ばかりなのに瑞々しい物語だった。新興宗教に嵌まる人達もこの頃から増えてきたのかな。女性ならではの視点。良い作品でした。2021/09/15
あかふく
3
病気の話されたら、そら、いい話やなあ、って思うけど、どやねんこの小説は。2013/03/11
zaki
2
ちょっと前の話だけど、これも色あせてない。生き様はいつの時代も同じなのね2010/04/02