出版社内容情報
戦争の傷跡を深く残す東南アジアでのビジネスに携わる日本人商社マンが直面する厳しい現実。親愛感と怨念が複雑に絡み合うフィリピンを舞台に展開する男のドラマ
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
遥かなる想い
179
第87回(1982年)直木賞。 戦中・戦後のフィリピンに生きた日本人の 物語である。昭和46年 マニラで起こった事件 を中心に 日本とフィリピンの関わりを描く。 木材に関する本社と支店との対立など、 経済小説らしい展開で、当時の日本の 雰囲気が現代に伝わってくる作品だった。2017/10/05
makimakimasa
5
30年以上前の直木賞作品。新木場木材団地での検品作業から話は始まる。数ヶ月前に著者の訃報をNHKニュースで目にした際、フィリピンのラワン材を巡る商社マンの話と聞き、まさに自分の仕事や業界と関連があり過ぎて、そんな小説があったのかと驚いた。日比ハーフの現地社員による戦時中の回想シーンや、東京下町の合板メーカーより出向で来ている駐在員の現地女性との恋物語など、2人の中心人物を軸に物語は進行する。メインはビジネスだが、戦争小説としても傑作と感じた(例えば、『永遠の0』よりずっと共感出来るし、内容が重厚)。2014/11/02
南斗の流れ星
3
笑いあり驚愕あり涙あり。悲しくも爽快な読後感だった。戦後の1970年、日本軍の支配下であったフィリピンを舞台に、現地木材を取り扱うため日本から出向した商社マンチームが、「理想の商売の在り方」や「戦争が残した貧困・遺恨」といった苦悩を乗り越えていく生き様を壮大なスケールで描いている。『国際貿易ビジネスにおける本社の過酷な要求(現在)』と『第二次世界大戦における本国の過酷な作戦令(過去)』に、『それぞれ現地で翻弄される』日比ハーフ商社マンの話だけでも名作足りえる内容なのに、2016/03/10
el_desvios
1
商人シリーズで気になっていたのを完読。舞台は昭和40年代かな。なんかさもありなんという感じの日本人とフィリピンが舞台で、それに戦争の話が被ってきて、なかなか読み応えあった。伐採したあとって、どうしたんだろう?2025/04/29
yusaku hanada
0
貿易を外国と行うこととは、戦争とは、 登場人物が魅力的で読み始めて止まらなかった。頭を使って、しっかりと物事を考え、私利私欲で動かない男に憧れるし、本当に苦しい時にもそういった判断ができるような人でありたい。2024/07/15
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