出版社内容情報
妻を喪い子らを故郷に残して喧騒の街に生きる男の胸を、屈辱にみちた捕虜生活の記憶が過ぎる。戦争体験を昇華させた直木賞受賞作
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
naof
3
ハードボイルドシングルファザー小説って感じでした。岐阜の風景が眼前に迫り来るような描写、好きです。2021/05/09
gibbelin
1
昭和30年代のシングルファーザー。「合理的な飯の炊き方を発見した」ような心理は、今でもありそうだ。そういう日常へ、フラッシュバックする戦争の記憶。戦後の日本はこうであった、と一言では言えないよなあ。東海道線穂積大垣間にて記す。 2020/03/22
おさむ
0
戦争で死んだと思われていたのに、米軍の捕虜となり、生還したという作者の半生が劇的すぎる。自らの人生を描いており、どこまでが小説なのかわからないほど。家族模様に、出身の岐阜県の風土話がおりまざり、独特の雰囲気を出している。筆者は東京新聞記者だからか所々に硬い表現が見える。直木賞受賞作。2012/12/08