出版社内容情報
50歳で教職を退職し、息子と病身の妻を伴い宮崎県北郷町へ移住。娘と母の協力も得て、心を通わせた家族の美しい絆を綴る
50歳で教職を退職し、息子と病身の妻を伴い宮崎県北郷町へ移住。娘と母の協力も得て、心を通わせた家族の美しい絆を綴る
言葉をしゃべれない息子と家族のやり取りだけでなく、地域福祉環境整備のための奮闘も併せて描く感動のノンフィクション
……息子は生を享けて以来、三十四年間、人間としての普通の感情(喜怒哀楽)を味わい、表現することが十分できなかった。第一、それらを表現するもっとも基本的な言葉を発することができなかった。……息子は、一生の間に涙を流すことがなかった。痛いときも、哀しいときも、嬉しいときも。嬉しい表現は大きな声で笑い、体の動きでも表わしていた。
後になって、息子が私の生涯の先導者だったと気付いて、感謝する一方で詫びている。
(「あとがき」より)