出版社内容情報
五胡十六国時代ーー奴隷が皇帝に成り上がり、怪僧が暗躍し、無数の異民族(胡)が中原に進出した混沌の136年。ポスト三国志の政治秩序を再構築し、胡漢が融合する新たな「中国」のため奮闘した5人の英雄の姿を通じて、東洋史上最大の乱世の実像を劇的に描き出す
【目次】
内容説明
三国時代の後、西晋の統一は瞬く間に崩れ去り、中国は多くの政権が林立する「五胡十六国時代」へと突入した。匈奴・羯・鮮卑・〓・羌などの胡族と、後漢末以来の動乱を経てもなお中原に居住していた漢族が衝突・融和を繰り返し、既存の秩序や常識が更新され、奴隷が皇帝に成り上がりもした激動の時代。三〇四年の匈奴漢の建国から四三九年の北魏による華北統一までの一百三十六年間、人々はなにを求めて戦い、なにを成し得たのか。時代を駆け抜けた英雄たちの事績とともにその実像を活写する。
目次
序章 西晋―最後の「八王」東海王司馬越―
第一章 後趙―奴隷から皇帝に成り上がった男 明帝石勒―
第二章 前秦―五胡十六国時代の最盛期 宣昭帝苻堅―
第三章 後燕―がんじがらめの義理、成武帝慕容垂―
終章 北朝へ―北魏道武帝拓跋珪・太武帝拓跋〓と夏武烈帝赫連勃勃―
著者等紹介
小野響[オノヒビキ]
1990年滋賀県生まれ。電気通信大学大学院情報理工学研究科講師、白川静記念東洋文字文化研究所客員研究員。専門は後漢魏晋南北朝隋唐史、特に五胡十六国時代。博士(文学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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よっち
20
304年の匈奴漢の建国から439年の北魏による華北統一までの136年間、人々はなにを求めて戦い何を成し得たのか。「五胡十六国時代」を解説する1冊。匈奴・羯・鮮卑・氐・羌などの胡族と、中原に居住していた漢族が衝突・融和を繰り返し、既存の秩序や常識が更新され、奴隷が皇帝に成り上がりもした激動の時代を八王の乱から後趙の石勒、前秦の苻堅、後燕の慕容垂、北魏の拓跋珪を中心に北魏が統一するまでを解説していて、八王の乱にだいぶページを割いていた印象でしたが、西北地域の動向なども紹介されていてとてもわかりやすかったです。2025/08/17
ピオリーヌ
19
2025年の刊。ハヤカワ新書。あとがきにあるように著者は三崎良昭『五胡十六国』に刺激を受け、大学のAO入試も肥水の戦いについて小論文を書いたという。簡便・平易なものをという編集者の依頼に応えて書かれたのが本書であり、時間軸的な展開に沿って書かれたこの内容は、その依頼に応えているように思える。五胡十六国の時代の取っ掛かりにお薦めの一冊。主要人物に焦点が当てられているが一人あげるとすれば慕容垂か。腹芸が苦手な慕容垂の様子をかえって人間的な魅力があると評す著者に同意見。2025/08/11
さとうしん
19
とにかく複雑怪奇という印象のある五胡十六国時代を、石勒、苻堅、慕容垂といったように章ごとに視点人物を定めて概説。その人選がうまくいったということか、わかりにくいなりに時代の流れを追うことができる。本書の随所でこの時代特有の天王号の意義を考察している点、それと関連して各政権が理想とした王朝の形、石勒政権や苻堅政権など、この時代の集団が胡漢入り乱れていたことなどが印象に残った。2025/06/10
電羊齋
16
本書サブタイトルの通り数々の王朝が乱立し、その王朝内でも複雑な権力闘争が行われた五胡十六国時代。この滅茶苦茶ややこしい時代について、司馬越、石勒、苻堅、慕容垂、赫連勃勃ら章ごとに定点的な主人公的人物を設定して、その視点から解説するという形を取っている。おかげで各王朝・集団の動向が追いやすくなっている。また、この時代の各王朝の構造、各王朝での胡漢の混合、この時代独特の「天王」号など興味深いテーマが多かった。2025/06/24
MUNEKAZ
15
とにかく複雑な印象のこの時代だが、特定の人物にフォーカスして描く構成のためか、意外と読みやすかった。また最近は拓跋国家や南北朝についての優れた概説書もポツポツ出ているので、時代が下るほど「これ習ったやつ」とばかりに読むのがラクになっていったかな。「皇帝」か「天王」か、胡漢の融合と対立など、時代を特徴付ける部分にも適宜触れているのも良い。あとがきにもある三崎良章氏の『五胡十六国』も併せて読むと、本書で抜けている部分が補えて理解が深まると思う。2025/07/07