出版社内容情報
友達との心の距離に揺れる10代特有の感情(「無理して頑張らなくても」)。大人たちの理不尽や偏見に気づいてしまった幼い日の痛み(「良き時代」)。まっすぐに生きる他者に感じる劣等感(「デビー・チェン」)。誰もが知るほろ苦い感情を掬いあげた珠玉の十四篇
【目次】
内容説明
クラスの人気者の友人に良く思われたくて、彼女の言葉ひとつに心を揺らす「無理して頑張らなくても」。大人たちの偏見や矛盾に気づきながらも、その世界の秩序に従おうとする「良き時代」。鶏を食べることを当たり前とする社会に馴染もうとしながら、命への思いを手放せずにいる「アンニョン、クク」。学校や家族、社会のなかで積み重なっていく小さな無理を見つめ、解き放つ14の物語。
著者等紹介
チェウニョン[チェウニョン]
1984年、京畿道光明市生まれ。2013年に文芸誌『作家世界』で新人賞を受賞しデビュー。デビュー10年以内の作家に贈られる文学賞である若い作家賞を3度受賞するほか、ホ・ギュン文学作家賞、キム・ジュンソン文学賞、『わたしに無害なひと』で韓国日報文学賞、『明るい夜』で大山文学賞を受賞している
古川綾子[フルカワアヤコ]
神田外語大学韓国語学科卒、延世大学教育大学院韓国語教育科修了、翻訳家、神田外語大学講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
lisa
14
タイトルに惹かれて購入した本。人生とは小さな出来事と様々な感情の積み重ねで構築されている。私にも、あなたにも、いつか経験したことのある想いがそこかしこに散りばめられているような作品だった。ひとつひとつのお話は決して長くはないけれど、静かに、そしてしっかりと佇んでいた。良き時代、一時預かりボランティア日記、にぐっときた。2025/11/23
kibita
13
優しさと繊細さを持ちながら社会の痛みに鋭く切り込む強い芯を持つ作家だと感じる。『一時預かりボランティア日記』、私も喪失より孤独でいいと思っている。我が猫を愛するが故にいつか必ず来る別れの苦しみに怯えているから。彼女が最後だ。まさに『私たちが学べないもの』のリストそのもの。「良き時代」では子どもに忖度を強いた親と隣人の無神経という暴力を鋭く指摘していて読むのも辛い。韓国の女性作家達は、社会構造に根差した鋭い感情を呼び起こし深い共感を共有させる力を持っていると思う。これは日本の女性作家からは感じないものだ。2025/11/26
オレンジ猫
6
韓国ドラマを観てると感じる、個性の無寛容、社会の閉塞感と過去への執着と人間関係が満載だった。過ぎた事への執着が強い。14編からなる短編集だか似たようなテーマ。"夕暮れの散歩"は良かった。2025/12/17
takenoko
1
なかなか言語化できない屈折した思いが、文字で表現されていて、はっとさせられる。これは自分のことを言ってるのかなって。身近で大切にしなければいけないはずの人なのに、無関心になってしまう。あえて意地悪なことを言ってしまう。屈折した思いを少しでも修正したいなあ。2025/12/13
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