出版社内容情報
2029年、北京。常軌を逸した速さで進行する癌で有力者の息子が死亡した。これは仕組まれた連続殺人なのか? 刑事偵査総隊の刑事アーロンは、ウイグル人の遺伝子エンジニア、マリクとともに捜査を行なう。やがてアーロンとマリクは、生命科学上の闇に直面し……
【目次】
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
178
岩井 圭也は、新作中心に読んでいる作家です。本書は、近未来北京ヒトクローン社会派ミステリでした。日本人作家ではありますが、翻訳ミステリのようなテイストです。 https://www.hayakawa-online.co.jp/shop/g/g0005210465/2025/11/14
hiace9000
123
回帰前の香港舞台の『水よ踊れ』に近い、作品を覆うダークな雰囲気は、中国当局の掴み切れぬ闇の実態を背景としているからでしょうか。作品ごとにがらりと筆致を変えて読ませる岩井筆、今作は"ハード"なやつです。ごく近未来の北京を舞台に刑事偵察隊の刑事・アーロンと、切れ者の遺伝子エンジニア・マリクという謎めいた男が、ゲノム編集に関わる国家陰謀に挑むサスペンス。終盤に訪れる〈禁忌を厭わぬ〉まさに意表を突く展開に「えっ!」と登場人物以上に驚かされたわたし。中国にとっての不都合な真実を、遺伝子工学と絡めて炙り出しています。2025/10/26
サンダーバード@怪しいグルメ探検隊・隊鳥
93
(2025-173)【図書館本-115】人工塩基の発明により遺伝子工学が大幅に進んだ2029年の中国を舞台としたSF&ミステリー。極度の進行性癌により政府要人の子息が死亡した。その真相を捜査する警察官アーロンと遺伝子エンジニアのマリク。現在でも遺伝子編集された食物などは既に出回っているが、こうした事件が数年後に起こっても不思議ではないと感じる。最後のどんでん返しには賛否両論あると思うけど、一気に読ませる面白さであった。岩井さん、こういうのも書くんだ。改めて引き出しの多い作家さんだなぁと思った。★★★★2025/11/10
ナミのママ
91
近未来の中国を舞台にバイオテクノロジーを題材にしたSF。常軌を逸した速さで進行したガンで4人が死亡した。出世を第一に考える刑事アーロンは事件解決に野心を燃やす。捜査協力者として上から連携するように推薦された相手はウィグル人の遺伝子エンジニア・マリク。初対面から全く噛み合わない2人。ヒトゲノム、遺伝子組み換えと私にはなじみのない世界が興味深い。また中国の政策と人種問題が絡む。最後の最後までゾワゾワする恐ろしさ。多様な作品を書く岩井さん、読みやすい作品ではないが、このテーマ面白かった。2025/10/12
キムチ
73
岩井氏、真かの新境地❣中国の近未来モノ。そう非ずとも見聞きする中国、特に高IQ人間の人となりに嫌悪を感じる私。筆者の巧みなペンが描く遺伝子エンジニアの人間性にムカつかされたもののウィグル地区に育った人のみが知り得る歴史に驚愕(平和島国 日本では理解を越える)一気に頁が進んだ。民族融和のシンボルとしての命∼主役アーロンが警察人として事件解明にタッグを組まされたマリクの姿。アーロン自体もクローンには自己矛盾する想いがある。【金や地位の為なら人は信じようと、平気で嘘もつく、自分に都合のいい物語を見せようとする】2025/12/15




