出版社内容情報
2029年、北京。常軌を逸した速さで進行する癌で有力者の息子が死亡した。これは仕組まれた連続殺人なのか? 刑事偵査総隊の刑事アーロンは、ウイグル人の遺伝子エンジニア、マリクとともに捜査を行なう。やがてアーロンとマリクは、生命科学上の闇に直面し……
【目次】
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
164
岩井 圭也は、新作中心に読んでいる作家です。本書は、近未来北京ヒトクローン社会派ミステリでした。日本人作家ではありますが、翻訳ミステリのようなテイストです。 https://www.hayakawa-online.co.jp/shop/g/g0005210465/2025/11/14
hiace9000
114
回帰前の香港舞台の『水よ踊れ』に近い、作品を覆うダークな雰囲気は、中国当局の掴み切れぬ闇の実態を背景としているからでしょうか。作品ごとにがらりと筆致を変えて読ませる岩井筆、今作は"ハード"なやつです。ごく近未来の北京を舞台に刑事偵察隊の刑事・アーロンと、切れ者の遺伝子エンジニア・マリクという謎めいた男が、ゲノム編集に関わる国家陰謀に挑むサスペンス。終盤に訪れる〈禁忌を厭わぬ〉まさに意表を突く展開に「えっ!」と登場人物以上に驚かされたわたし。中国にとっての不都合な真実を、遺伝子工学と絡めて炙り出しています。2025/10/26
サンダーバード@怪しいグルメ探検隊・隊鳥
91
(2025-173)【図書館本-115】人工塩基の発明により遺伝子工学が大幅に進んだ2029年の中国を舞台としたSF&ミステリー。極度の進行性癌により政府要人の子息が死亡した。その真相を捜査する警察官アーロンと遺伝子エンジニアのマリク。現在でも遺伝子編集された食物などは既に出回っているが、こうした事件が数年後に起こっても不思議ではないと感じる。最後のどんでん返しには賛否両論あると思うけど、一気に読ませる面白さであった。岩井さん、こういうのも書くんだ。改めて引き出しの多い作家さんだなぁと思った。★★★★2025/11/10
ナミのママ😴休憩中🏥
88
近未来の中国を舞台にバイオテクノロジーを題材にしたSF。常軌を逸した速さで進行したガンで4人が死亡した。出世を第一に考える刑事アーロンは事件解決に野心を燃やす。捜査協力者として上から連携するように推薦された相手はウィグル人の遺伝子エンジニア・マリク。初対面から全く噛み合わない2人。ヒトゲノム、遺伝子組み換えと私にはなじみのない世界が興味深い。また中国の政策と人種問題が絡む。最後の最後までゾワゾワする恐ろしさ。多様な作品を書く岩井さん、読みやすい作品ではないが、このテーマ面白かった。2025/10/12
がらくたどん
63
今から5・6年前にヒトゲノム編集ベビー誕生を主張する中国人研究者の存在や米中のペットクローンビジネス実現化の話題が駆け巡ったが、本作はそんなニュースの延長線上にあるゲノム編集が日常化された近未来中国が舞台の物語。発端は有力者の息子の異常な進行性の癌での死亡。ゲノム編集が凶器となった可能性から上昇志向の漢人刑事と傲岸なウイグル人エンジニアが互いに反目しつつ捜査に当たる。それぞれに一人っ子政策と異民族粛清の暗部を背負う二人の歪んだ存在証明が描く螺旋はどこに辿り着くのか?自己中で共感しにくい相棒だが話は面白い♪2025/11/10




