出版社内容情報
銀河系内の数万の言語が同時翻訳されている時代。辺境の惑星の、翻訳機では解読できない本を販売する書店にやってきた女性の、意外な目的とは……(表題作)。長篇『派遣者たち』の原型となった「沼地の少年」を含むレトロテイストなショートストーリー14篇!
内容説明
翻訳機を使えないように加工した本だけを売っている辺境の惑星の書店。そこを訪ねてきた女性の意外な目的とは…(表題作)。物に触ると鋭い痛みを感じる女性の家には、かつて一緒に暮らした者との思い出の品があって…「サボテンを抱く」。韓国で20年ごとに切ないバラード曲が流行する理由を調査するため、タイムトラベルで過去の女子校に潜入せよ…「切ないラブソングはそれぐらいに」。長篇『派遣者たち』の原型となった短篇3作を含む、未知の世界のはずなのに、どこか郷愁を感じるショートショート14篇!
著者等紹介
キムチョヨプ[キムチョヨプ]
金草葉。1993年生まれ。浦項工科大学化学科を卒業し、同大大学院で生化学修士号を取得。在学中の2017年、第2回韓国科学文学賞中短編部門にて「館内紛失」で大賞、「わたしたちが光の速さで進めないなら」で佳作を受賞し、作家としての活動をスタート。2021年、キム・ウォニョンとの共著のノンフィクション『サイボーグになる』で韓国出版文化賞を受賞
カンバンファ[カンバンファ]
翻訳家・翻訳講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
あおでん@やさどく管理人
22
邦訳最新作はショートショートが中心。「切ないラブソングはそれぐらいに」を読んで、バラードで歌われていることは日本でも韓国でも似たようなものなのだな…と思ったり。後半では「シモンをあとにしながら」が好き。物語全体が「互いに触れないよう気をつけながら」と「ほかの生き方もあることを」にまとめられているが、この表題自体が他の作品と通ずるものがある。2025/05/29
星落秋風五丈原
19
SF短編集。サボテンにさされにいく人がいたい。2025/06/22
宇宙猫
16
★★★ 掌編小説集。キム・チョヨプの世界観は好きなんだけど、ショートショートと違って結末がふわっとしていて何だか物足りない。「惑星語書店」が一番よかった。2025/09/15
おだまん
13
SFなんだけども優しくてその堅さをまったく感じない。チョヨプさんの魅力をたっぷり感じられる短いお話の数々。うっかり洋書を買ってしまった過去を思い出した表題作、派遣者たちに繋がる菌たちのお話、などなど、愛おしく読みました。2025/06/08
イツキ
11
短編とショートショートの作品集です。今までの短編集や長編とはまた違った作者の味が感じられる作品でした。短いながらも不思議な世界観とどこか物悲しさや寂しさ、郷愁などの雰囲気は変わらずなのでより手軽にこの作者の作品に触れられます。何かに触れるだけで全身に痛みを感じる病気にかかった人物を描く「サボテンを抱く」、微生物や菌糸類が独自の地勢を作った沼地とそこに迷い込んだクローンの少年の触れ合いが描かれる「沼地の少年」が特に好みでした。2025/08/11