出版社内容情報
リチャードソン家の邸宅が燃えた。厳しい母が管理する、完璧に見える家庭だった。母の唯一の悩みは末娘のイジーだが、今は姿を消していた。一家の貸家に住む母娘も見えない。誰が、なぜ火をつけたのか。秘密を抱える二つの家族が、焼け跡で見つけた真実とは?
内容説明
一見平和な家が燃えた。火をつけたのは誰か、なぜか。秘密を抱える家族が、焼け跡で目撃した真実とは?胸に迫る文芸ミステリ。79週連続ニューヨーク・タイムズ・ベストセラー、25を越える媒体で年間ベストブック選出!
著者等紹介
井上里[イノウエサト]
翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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starbro
159
全米370万部突破の文芸ミステリという触れ込みで読みました。 自由の国、移民大国にて多様性がありながら、人種差別大国の社会の歪みの中の家族ドラマ、読み応えはありますが、ここまでベストセラーになるのかは疑問です。実際日本では、ほとんど売れていないと思われます。 https://www.hayakawa-online.co.jp/shop/g/g0005210425/2025/06/19
藤月はな(灯れ松明の火)
49
理想的なアメリカン家庭だったリチャードソン家が燃えた・・・。なぜ、火災は起こったのか?写真芸術家であり、とある理由から放浪生活を送っているミアと寛大と安逸と理想を体現したエレナ。彼女らが互いに影響し合うのではなく、子供達や周囲に影響を及ぼしているという点が中々、独特だ。しかも周囲はエゴイストでありながらも相手への愛情や敬意は少なからずもあるというのが割り切れなさに拍車を掛ける。個人的にリチャードソン家で黒い羊だったイジーが自分を殺しに掛かるような環境から抜け出せたのは救いだ。とはいえ、エレナの独白が切ない2025/07/16
ヘラジカ
37
前作『秘密にしていたこと』と同じく繊細なヒューマン・ドラマのなかに、経済格差、人種と性別、果ては”スクールカースト”により生まれた歪みや断絶が巧みに織り込まれている。読みにくさを覚えるほどには複雑でないのに重層的で、しかも登場人物どの立場に立っても理解や共感の欠片を掴むことが出来るほど高精細。ここまで濃厚(ドロドロと言っても良いほど)な人間関係を描いていても、筆さばきは鮮やかで思わずと言うように先へと読み進めてしまう。これこそが第一級の小説だ。逸品。最新作も邦訳が待ち遠しい。2025/05/10
かんやん
31
全米370万部、amazonのレビュー18万件、さらにドラマ化。たしかにご都合主義的な昼ドラっぽいイメージがある。高級住宅街に暮らすリッチな母親(定住者)と、その借家人でシングルマザーのアーチスト(放浪者)のコントラスト。そして、それぞれの子どもたちの入り組んだ関係。読ませるけど、芸術家は自由で、お金持ちは夢を断念した者なんて発想はかなり陳腐ではないか。一見誠実で問題提起的でありながら、他人の私生活を覗き見するような下世話さもあり、だからこそ受けたんじゃないかなと思う。ターゲットは主婦層かな。2025/07/09
Hiro
31
Podcast「文学ラジオ空飛び猫たち」を聴いて興味を持ち、さっそく図書館で借りた。紹介されていた通り「炎の勢いで読み終えた」。正反対の生き方をする正反対の女性たち。すごく面白い!完全に没入できる作品。ドラマのように展開が早く、読んでいてイライラすることがない。ドラマもあるようなので、機会があれば見てみたい。 2025/06/16