出版社内容情報
リチャードソン家の邸宅が燃えた。厳しい母が管理する、完璧に見える家庭だった。母の唯一の悩みは末娘のイジーだが、今は姿を消していた。一家の貸家に住む母娘も見えない。誰が、なぜ火をつけたのか。秘密を抱える二つの家族が、焼け跡で見つけた真実とは?
内容説明
一見平和な家が燃えた。火をつけたのは誰か、なぜか。秘密を抱える家族が、焼け跡で目撃した真実とは?胸に迫る文芸ミステリ。79週連続ニューヨーク・タイムズ・ベストセラー、25を越える媒体で年間ベストブック選出!
著者等紹介
井上里[イノウエサト]
翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ヘラジカ
33
前作『秘密にしていたこと』と同じく繊細なヒューマン・ドラマのなかに、経済格差、人種と性別、果ては”スクールカースト”により生まれた歪みや断絶が巧みに織り込まれている。読みにくさを覚えるほどには複雑でないのに重層的で、しかも登場人物どの立場に立っても理解や共感の欠片を掴むことが出来るほど高精細。ここまで濃厚(ドロドロと言っても良いほど)な人間関係を描いていても、筆さばきは鮮やかで思わずと言うように先へと読み進めてしまう。これこそが第一級の小説だ。逸品。最新作も邦訳が待ち遠しい。2025/05/10