出版社内容情報
リチャードソン家の邸宅が燃えた。厳しい母が管理する、完璧に見える家庭だった。母の唯一の悩みは末娘のイジーだが、今は姿を消していた。一家の貸家に住む母娘も見えない。誰が、なぜ火をつけたのか。秘密を抱える二つの家族が、焼け跡で見つけた真実とは?
内容説明
一見平和な家が燃えた。火をつけたのは誰か、なぜか。秘密を抱える家族が、焼け跡で目撃した真実とは?胸に迫る文芸ミステリ。79週連続ニューヨーク・タイムズ・ベストセラー、25を越える媒体で年間ベストブック選出!
著者等紹介
井上里[イノウエサト]
翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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starbro
168
全米370万部突破の文芸ミステリという触れ込みで読みました。 自由の国、移民大国にて多様性がありながら、人種差別大国の社会の歪みの中の家族ドラマ、読み応えはありますが、ここまでベストセラーになるのかは疑問です。実際日本では、ほとんど売れていないと思われます。 https://www.hayakawa-online.co.jp/shop/g/g0005210425/2025/06/19
キムチ
74
ちらちらの火種・・密かな埋もれ火~表題の通り、二組の家庭が擦れ合う事での摩擦を通じて「母と子」の有様を対比させる形での展開。中盤まで乗り切れず呻吟。米アッパー層の家庭に入ってきた有色人種の母と娘。完璧な場所と暮らしを堅持する夫婦。4人の娘息子との接触は熱を持たぬはずはない。規則の難点である「正しき道」って何?現実にあるのは「道」だけなのに・・理想?より秩序だった道は果たして何なんだろう。単純な嫌ミスと思いきや、レイシズムも絡む、上昇志向と自由謳歌との価値観の相違も‥人生路程で交差点ごとに現れる選択の良否2025/09/27
藤月はな(灯れ松明の火)
55
理想的なアメリカン家庭だったリチャードソン家が燃えた・・・。なぜ、火災は起こったのか?写真芸術家であり、とある理由から放浪生活を送っているミアと寛大と安逸と理想を体現したエレナ。彼女らが互いに影響し合うのではなく、子供達や周囲に影響を及ぼしているという点が中々、独特だ。しかも周囲はエゴイストでありながらも相手への愛情や敬意は少なからずもあるというのが割り切れなさに拍車を掛ける。個人的にリチャードソン家で黒い羊だったイジーが自分を殺しに掛かるような環境から抜け出せたのは救いだ。とはいえ、エレナの独白が切ない2025/07/16
Hiro
41
Podcast「文学ラジオ空飛び猫たち」を聴いて興味を持ち、さっそく図書館で借りた。紹介されていた通り「炎の勢いで読み終えた」。正反対の生き方をする正反対の女性たち。すごく面白い!完全に没入できる作品。ドラマのように展開が早く、読んでいてイライラすることがない。ドラマもあるようなので、機会があれば見てみたい。 2025/06/16
ヘラジカ
39
前作『秘密にしていたこと』と同じく繊細なヒューマン・ドラマのなかに、経済格差、人種と性別、果ては”スクールカースト”により生まれた歪みや断絶が巧みに織り込まれている。読みにくさを覚えるほどには複雑でないのに重層的で、しかも登場人物どの立場に立っても理解や共感の欠片を掴むことが出来るほど高精細。ここまで濃厚(ドロドロと言っても良いほど)な人間関係を描いていても、筆さばきは鮮やかで思わずと言うように先へと読み進めてしまう。これこそが第一級の小説だ。逸品。最新作も邦訳が待ち遠しい。2025/05/10




