出版社内容情報
ソラリス――この静謐なる惑星は意思を持った海に表面を覆われていた。心理学者ケルヴィンは、惑星の謎を解明するべく派遣されたのだが……。人間を超える知性とのコンタクトは可能なのか? 連載中から絶賛の声続々! 人気作家が傑作古典を余すことなくコミック化
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本屋のカガヤの本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ぐうぐう
28
タルコフスキーの映画版がそうだったように、森泉岳土のコミカライズも余白を多用してレムの原作を表現しようとする。シンプルなタッチ、そして白い背景。余白は説明がされないことで逆に意味を持ち、読者を立ち止まらせる。その余白にソラリスの海を重ねることも可能だ。「狂っているとしたらむしろ救われるよ」「本当に恐ろしいのは起こらなかったことなんだ」「われわれは海についてなにも分かっていない」2025/02/11
garth
26
これは素晴らしい。なんというか、日本漫画というよりインターナショナルなグラフィックノベルとしてのほうが受け入れられるのではないか。まあ、日本人は異常なくらいに『ソラリス』を好きなので、欧米でどう受けるかはわかりません。2025/01/27
梅子
3
青山ブックセンターでの森泉さんの講演のため読了。「ソラリス」は読んでからだいぶ経つが、未だに鮮明なイメージを残している大好きな作品だから、コミカライズに複雑な気持ちはあったけど、読んでみたら漫画というよりバンド・デシネっぽくて、脳内のイメージを一切邪魔せず、良い意味で淡々と描かれていて、大変良かった。必要以上に背景とかを細かく描き込んでいないこと、物語のエッセンスを上手く抽出できていることが、この好印象に繋がってるのかもしれない。ソラリスの造形を鉛筆だけで描くのも、奇妙な掠れ具合が夜霧っぽくて雰囲気ある。2025/03/03
vivahorn
2
SFマガジンに本作品の冒頭部分が掲載された時に連載を期待したが単発だった。今回単行本2冊という形態をとって出版され大喜び。書店でもかなりの冊数が出ていた。ソラリス・ステーションに出現する幻影については、様々な学問・説で説明しようとするが解明には至っていない。まさに人知を超える生命体である。残念ながらまだこの世界ではシンギュラリティには至っていない。仮に至っていたとしても、そもそも解明できないものなのかもしれない。ケルヴィンとハリーとの愛が静かに燃え上がったところで下巻へ続く。2025/02/14
biwacovic
1
物語の核となる「ハリー」との対話が美しい。そしてタルコフスキーの映画が描かなかった(描けなかった)ソラリスの形成物の描写が美しい。そしてのこの上下2冊の書物自体が、まるでソラリスが作り出した不思議な物体のように美しい。2025/01/29