出版社内容情報
17歳の運び屋の風子に、ある荷物を運んでほしいという依頼が持ち込まれた。一度走った道をすべて記憶している風子は、持ち前の運転技術を活かして長野県の諏訪を目指す。ヤクザや新興宗教、某国のスパイまでもが荷物を狙うなか、彼女は依頼を完遂できるのか
内容説明
17歳、無免許の運び屋・風子のもとに持ち込まれた新たな依頼は、東亜理科大医生物学研究所の研究員・志麻百合子が持ち出した開発中の医薬品と研究データを運ぶことだった。一度走った道を映像として覚えられる風子は、スバルのフォレスターに志麻を同乗させて長野県の諏訪を目指すが、道中で正体不明の一団の襲撃を受ける。卓越した運転技術で危地を脱した風子は、顔見知りの殺し屋・仁に護衛を依頼する。それぞれに暗い過去を抱えた三人の思いが交差するなか、志麻の口から語られた医薬品の正体は、この世界を根底から覆しかねないものだった…。ヤクザや某国のスパイなど様々な妨害工作をかわし、風子たちは諏訪湖にたどり着けるのか。そして、志麻に隠された本当の目的とは。第14回アガサ・クリスティー賞大賞受賞作。
著者等紹介
睦月準也[ムツキジュンヤ]
1984年生まれ。東京都出身。慶應義塾大学法学部政治学科卒業。2024年、『マリアを運べ』で第14回アガサ・クリスティー賞大賞を受賞し、同作で作家デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
185
第14回アガサ・クリスティー賞大賞受賞作と言うことで読みました。毎年大賞受賞作を楽しみにしています。本書は、全くアガサ・クリスティーっぽくありませんが、疾走感のある輸送サスペンスの佳作でした。17歳の運び屋、風子のキャラクター&能力もGOODです。 ワイルドスピードのような感じで映像化すると面白いと思います。 https://www.hayakawa-online.co.jp/shop/g/g0005210382/2024/12/24
パトラッシュ
142
エンタメ評価の指針にはアクションと背景描写がある。前者に傾斜すれば映画的とか薄っぺらいと言われ、後者だと重い暗い退屈と貶される。大抵の作家は双方のいいとこ取りを狙って苦心するのだが、本書は全面的にアクション側へ振り切った。17歳の無免許運び屋少女という設定からしてクレージーだが、その後はひたすら目標に向かってカーチェイスだ。やくざや情報機関の妨害、カルト宗教施設への突入と長編になる材料にも軽く触れるだけで、どんな苦境に陥っても手段を選ばずやり抜く。この潔さに感服するか反発するかで評価が大きく分かれる作品。2025/01/26
ナミのママ
79
運び屋の主人公は17歳の無免許女性だし、ブツはなんだかわからず、同乗した持ち主は行き先をはっきり言わない。なんだかわからないままスタートした物語は車と同じく疾走する。もちろんすんなりいくはずがない。タイムリミットまで24時間、3時間で到着するはずがどんどん追っ手がやってくる。勢いの良い作品、走りながら色々とみえてくる、こういう作品は好み。だが『エイリアス・エマ』を思い出してつい比較してしまった。特殊能力のある17歳主人公、キャラクターにもう少し魅力が欲しかったかな。【第14回アガサ・クリスティ賞大賞】2024/12/28
シャコタンブルー
63
プロの運び屋である風子は17歳!?ドライブテクニックとある特殊能力を駆使して「荷物」を運ぶ。次から次へと襲い掛かる敵、待ち受ける罠、絶体絶命の連続。最初から最後までフルスロットのスピード感溢れる展開に魅了された。何気ない描写に隠された伏線の回収と洒落た会話も冴えていた。何より沈着冷静で洞察力も兼ね備えた風子のキャラが魅力的であった。粗さはあるがシンプルなストーリーを飽きさせずに一気読みさせる筆力は素晴らしくて新人とは思えなかった。次作がとても楽しみだ。2025/02/06
tetsubun1000mg
44
デビュー作がアガサ・クリスティー賞受賞というのでそこそこの期待で読み始める。 最近読む機会が無くなったハードボイルドの味が強い作品でした。 17歳で無免許の女性という設定と以前走った道を映像として覚えられるスペックが面白い。 スバルフォレスターが縦横無尽に走り回る描写はスピード感が伝わってくる。 運び屋の仕事を妨害する組織が次々と襲ってくるのだが、助っ人の殺し屋が凄い働きを見せて窮地を救う。 終盤の逃走劇が濃すぎる点はあるが、全体として現代らしさも取り入れた疾走感があるストーリーだった。次作も期待したい。2025/04/07