出版社内容情報
益田一族がいなければ、日本は四度滅びていただろう@@白村江の戦い、元寇、秀吉の朝鮮出兵、そして幕末の開国と、外敵から日本を護るため、歴史の裏側で尽力した山陰・益田家の、四つの時代の人々を描く連作集。政治、諜報、戦記、そして文明への志の物語。
内容説明
長州藩家老の益田右衛門介親施は、処刑された吉田松陰の仇をと攘夷に逸る桂小五郎ら三人の藩士に対峙していた。幕府と朝廷が対立して列強の介入を招けば、数多の民を犠牲にすることになる。右衛門介の脳裏を過るのは、歴史の裏で国の危難を救ってきた益田一族の先達たちだった。強大な唐を欺くため大海人皇子と大友皇子の内乱を画策した中臣鎌足の慚愧の念、元寇の犠牲を最小限に抑えるため蒙古を相手に孤独な諜報を展開した益田兼久、秀吉の命による朝鮮出兵の地獄で天下泰平を用意した益田元祥―。そして幕末、国を生かすため右衛門介が下した決断とは?真に草莽の臣たるべく身を捧げた益田一族の四つの物語。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
rosetta
30
★★★✮☆中臣鎌足から続く益田家。石見の益田の郷から後に長州藩の国家老。我が邦が海外との争いに巻き込まれた時に、始祖伝来の使命で邦を守ってきた。白村江、元寇、朝鮮出兵、幕末…。邦が二分化されて力を失うよりも、わざと負けを引き込んででも百年千年の存続を目指す。はっきり言ってその理屈の回りくどさとか迂遠さにうんざりもするけれど、歴史に名を残さずとも民の為に尽くして邦を守り続けた家系の有り難さに頭を垂れる思い。外から来る船に向かうそれぞれの時代の武者達を一枚に描いた表紙も上出来だと思う2025/03/02
信兵衛
17
本作は、4つの時代において、外国からの脅威に対して日本を護るために自らを投げうって戦い続けた人たちを描く歴史小説。 ユニークなのは、千年に亘って外敵から日本を護る役目を背負った石見の益田一族(藤原の末)という存在を設定したこと。 これにより、独自の面白さが開けています。2025/01/29
サケ太
14
白村江から続く益田一族の軌跡を追う作品。己の身を犠牲にしつつ、国を守るために生きていく姿を描いている。2024/12/30
Abercrombie
3
白村江の大敗を糧に、中臣鎌足によって石見益田に配された一族が、元寇、秀吉の朝鮮出兵、幕末の開国の際に、人知れず日本を守ってきた? 益田一族の生きざまは美しいけど、まったく説得力の感じられない話。2024/12/28
chuji
2
久喜市立中央図書館の本。2024年11月初版。書き下ろし。歴史の裏側で日本を守った益田一族の姿を描く〈白村江、蒙古襲来、秀吉唐入り、禁門の変〉とあったが、何れか一つに深く絞ったほうがよかったかなあという読後感です。2025/02/02