出版社内容情報
2123年10月1日、九州の山奥の小さな家に1人住む、おしゃべりが大好きな「わたし」は、これまでの人生と家族について振り返るため、自己流で家族史を書き始める。それは約100年前、身体が永遠に老化しなくなる手術を受けるときに提案されたことだった
内容説明
2123年10月1日、九州の山奥の小さな家に1人住む、おしゃべりが大好きな「わたし」は、これまでの人生と家族について振り返るため、自己流で家族史を書き始める。それは約100年前、身体が永遠に老化しなくなる手術を受けるときに父親から提案されたことだった。かいていったらなっとくできるかな、わたしは人生をどうしようもなかったって。いやだったこと、いたかったこと、しあわせだったこと、あいしたこと、一生わすれたくないとねがったこと。老いない身体を手に入れた彼女の家族史。
著者等紹介
間宮改衣[マミヤカイ]
1992年、大分県大分市出身。本作で第11回ハヤカワSFコンテスト特別賞を受賞し、デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
塩崎ツトム
162
授賞式のときにもらったガリ版、SFマガジン、そして単行本と計3回読んだ。読むたびに作品の解釈は微妙に変わるものだが、どれも「この作品はウエルベックの『ある島の可能性』と同じ地平に立っている作品じゃないか?」と考える。ただ、「ある島の~」を補助線にした語りはここには書かない。あと、3回目には第1回受賞作「みずは無間」と共通の実存問題について語っているのではないか、とも考えた。こちらとも別に語る気はないので、ぜひ両方読んで、比べてみそ。(つづく)2024/04/17
fwhd8325
158
不思議な作品です。SFはあまり好みではないのですが、紹介されている内容を見たら、面白そうだと思いました。ひらがなばかりの文章に戸惑いながらも、次第に引き込まれていきます。今までに読んだことのない世界観だと感じました。2024/08/07
やっちゃん
143
ホントにありそうな生活感のある近未来。未来の人から話を聞いているような。なによりそこまで生きられないことが寂しい。 SFのワクワクする感は無くて未来なのになぜかセピア色の無味乾燥なディストピア。忘れるのがいいのか忘れないのがいいか、これは難しい。2024/08/25
シナモン
116
死にたかったのに、融合手術を受け、永遠に老化しない身体を得た女性の物語。自分だけが若いままで、周りは年老いて亡くなっていくというのはしんどいな。どこまでも進化する医療の先に待っている未来って…。人生の意味とか幸せって何なんだろう。何となく虚しさの残る独特な読後感だった。ひらがながずらずら〜っと続く文章が最初は読みにくかったけど、いかにも機械人間の頭のなかという感じだと思った。 2024/10/03
mint☆
108
ハヤカワSFコンテスト特別賞受賞作。「ゆう合手じゅつ」を受けて身体がマシンになった女性。たった一人になった時に暇だろうからと父親に勧められた家族史を書いた日記のような小説。全て話し言葉で話は飛ぶし、書くことが苦手なのでひらがなばかり。最初は読みにくい、と思ったもののあっという間に引き込まれた。彼女の心が動かなくなってしまったのは家族のせいなのか体が機械になってしまったからなのか。淡々と書かれているけど彼女の人生は過酷だ。たった一人残された彼女の最期はどうなるのか、考えると切なくなる。2024/05/25