出版社内容情報
ピュリッツァー賞受賞の医師による『がん』『遺伝子』に続く圧巻の科学ドラマ。顕微鏡による発見の数々から、感染症やがんとの苦闘、脳の仕組みの解明、最新の遺伝子治療まで、「細胞」からヒトそして生命の本質に迫ろうとしてきた人類の歩みを鮮やかに描く。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
アキ
94
ヒトはたった一つの細胞から生まれた。そして細胞は生命の基本単位である。病気もまたたった一つの細胞から生まれる。本書は「がん」「遺伝子」とベストセラーを生み出してきたコロンビア大学の血液がんを専門とする医師の最新刊。すべての生物の基本単位が細胞であると考えられたのは1838年以降のこと。たかだか200年足らず。はじめて細胞を観察したのは、1670年代のレーウェンフック。コッホとパスツールが、病原性のある細胞が病気の原因と提唱したのが1880年代。今や遺伝子編集で自己の免疫細胞を治療に使用出来るようになった。2024/05/03
たまきら
45
楽しみにしていた新刊です。まるでラーマーヤナを読んでいるかのようだった「がん」とは違い、こちらでは「細胞」という個性的なメンツを語っています。…ふふふ、やっぱりラーマーヤナかな?上では細胞が発見されるまで、細胞が集まって生命となるまで、そして血液が語られます。…「細胞は生命の基本単位である」という言葉から細胞の持つ機能が紹介され、「生命とは細胞を持つこと」と再定義される文節は、まるで神話のよう。2024/07/09
ぐうぐう
39
『がん』『遺伝子』と来て、シッダールタ・ムカジーの次なるテーマは『細胞』。『遺伝子』を読んだ時にも感じたことだが、前著の主題から地続きとなっている印象が本著にも感じられる。だからこそ、大河小説を読んでいるようなダイナミズムを覚えるのだ。また、これも前著同様、主題に関する歴史を紹介しながらも、医師であるムカジー自身の患者との体験談を交えることで、臨場感と親しみを読者に与えている。そして何より、ムカジーの文学的表現、あるいはイマジネーションが前著と同じく本著にも読みやすさと奥深さをもたらせている。2024/04/02
わたなべよしお
18
ムカジーさんの三作目。今度は「細部」がテーマです。が、実際のテーマは現代医学とその発展史。つまり、現代医療とは細胞治療のことだから。いつもことながら、実に魅力的な話が繰り広げられます。しかも分かりやすい。語り口の上手さはさすがムカジーさんというしかないです。 2024/02/13
なおぞう
10
難関細胞度:★★★★医学もの作品です。一部は細胞にまつわる面白エピソードですか、二部になるとさすが早川書房、グッと小難しくなります。この作品、アメリカではヒットしているみたいだけど、本当なのかなあ。医療系の仕事の人やマニアじゃないと結構ちんぷんかんぷんだと思います。自分もかなり高齢で勉強したので、知ってること知らないことあり、かなり勉強になりました。あの小さい字の解説まで読む人いるのかなあ。下巻も既に図書館で予約済みので、読んでみます。人間という、更に細胞のいう不思議さを堪能するなら、読んだ方がいい作品。2024/03/21