出版社内容情報
新型コロナウイルスによる類のない災禍にある2021年。東日新聞顧問となった高樹は、いまだ政界に大きな影響力をもつ民自党顧問で宿敵である田岡の地元・新潟に、孫の健介を記者として送り込み、田岡家の失墜を仕掛ける。だが、思わぬ展開で計画に狂いが……
内容説明
パンデミックに喘ぐ二〇二一年の日本。政治家が不祥事を起こしても新聞は追及しきれない―それは民自党顧問・田岡が目指す政治によるマスコミ支配が進んだ証左であった。田岡に抵抗する東日新聞顧問・高樹は、この戦いに孫の健介を東日新聞新潟支局記者として投じる。田岡王国と呼ばれる新潟の地盤を継いだ田岡の息子をスキャンダルで追い詰め、落選させるのだ。だが、田岡の孫・愛海の存在が一抹の影を落とす。五十年にわたる二家の因縁が決着しようとしていた…大河政治マスコミ小説三部作、ついに完結。
著者等紹介
堂場瞬一[ドウバシュンイチ]
1963年生まれ。茨城県出身。青山学院大学国際政治経済学部卒業。新聞社勤務のかたわら小説を執筆し、2000年秋『8年』にて第13回小説すばる新人賞を受賞し、2001年に同作でデビュー。2013年より専業作家に(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ミカママ
503
これにて完読。今作においては堂場さん珍しい男女の恋愛などもあって、ドギマギしながら(笑)そっかぁ、そういう落としどころかぁ。わたしの期待とはちと違ったが、これはこれでアリだろう。ネタバレ意識して書くとレビューはこんな感じ。政治vsマスコミの三代に渡る大河ドラマ、堪能させてもらった。2024/04/04
旅するランナー
256
新潟を舞台にした、政治家田岡家vs新聞記者高城家3部作完結。時代はコロナ禍の現在となり、それぞれの一族の最終兵器、孫たちの活躍が描かれます。禁断の恋と、暴力の暴走。世代間格差を感じさせる展開の先に流れ着く、虚しさの残るラスト、僕は好きです。 新聞ジャーナリズムの復興という、堂場さんの思いも強く出ています。2022/12/03
starbro
220
12月の第一作は、著者作家生活20周年記念超大作の第三部完結篇です。祖父・親・子三世代、昭和・平成・令和、全三巻、1,200頁超、政治大河小説完読しました。著者版、ロミオとジュリエット、政治屋世襲の時代でもないので、小さき王国を脱出するという終わり方は、ありだと思います。 https://www.hayakawa-online.co.jp/shopdetail/000000015254/2022/12/01
いつでも母さん
160
ロミオとジュリエットになるのか?若い2人の恋愛模様は結果そうなる気がしたわ。なんてことはない。50年かかってジジ達・高樹VS田岡の喧嘩は痛み分け。政治とマスコミの不適切な関係は何処まで行っても決して無くならないのだろう。それは、この国の歴史が物語っているよね。政治家と選挙とか、新聞社の勢力争いとかどこか他人事の感じがあるが、票は有権者の意思だし新聞を読むのも私たちの意思だ。政治家の為の政治になっていないか?新聞記事のその裏に何かの意図は感じないか?自分の暮らすこの国のことを俯瞰して視ることも必要だよね。2022/11/07
KAZOO
116
前作で、マスコミ側の親子が敗北的な終わり方をしましたが、今回は孫の時代に入って少し局面が変わります。三代そろっての男の新聞記者と今度は政治家の方は女の子でということで、収束に入ったなと感じました。案の定ロミオとジュリエットという感じで最後は少し物足りない気がします。記者と政治家ということでの対立を書きたかったのだろうと思うのですが、もう少し並列的な書き方ではなく、マスコミの方にウェイトを置いて書かれた方がいいと感じました。やはり堂場さんの本領は刑事ものだと感じた次第です。2022/11/14