出版社内容情報
20年間、家族の待つ家に(ほとんど)帰らなかった著者は、息子たちに宛てたエッセイを密かに書きためていた。息子の人生の節目に著者はどんな心配をしていたのか。どんな本を勧めたかったのか。そして息子はちゃんと育ったのか。父子と家族をめぐる感動エッセイ
内容説明
家に帰らない父親は本を読みながらこんなことを考えていた。すべての親とかつての子供達に贈る家族エッセイ。
目次
第1章 ジャックがいたころ(赤子が誕生したとき;僕、小学二年生だよ;サンタクロースは本当にいないのか ほか)
第2章 家を出る季節(熱海の夜;一枚の写真;お前も淋しくないか ほか)
第3章 ゆっくりと生きろ(いま着ている服を好きになること;無限の荒野について;気楽に気長にやればいい ほか)
著者等紹介
北上次郎[キタガミジロウ]
文芸評論家、エッセイスト。1946年東京生まれ、明治大学文学部卒。1976年、椎名誠らと“本の雑誌”を創刊。以降2000年12月まで発行人をつとめた。1994年に『冒険小説論』(早川書房刊)で日本推理作家協会賞を受賞。著作多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ナミのママ
71
読書時間がなくなるから勤めたくない、週に1日しか帰宅しない、数々のエピソードがある書評家北上次郎さんのエッセイ。タイトルどおり2人の息子さんとの思い出に絡めて自身の学生時代や生い立ちにもふれている。そこに書かれているのはピッタリの気持ちを表す書籍からの引用、その数がまたすごい。「え?この作品にそんな場面があった?」と思うことしばしば。2013年までの連載のため絶版の作品が多々あるのが残念。ご本人を知りたくて手にしたものの登場する書籍もかなり面白かった。(北上次郎:本名目黒考ニ氏2023年1月19日永眠)2023/01/30
山田太郎
36
ダメオヤジという割に子供に慕われてるし、いい家族ではないかと。奥さんができた人なのであろう。いろいろよく本知ってるなと、当たり前ではあるが。通勤電車の中ですが、くしゃみひとつやりにくいなと。ちょっと花粉症気味なんですが。2020/02/25
booklight
35
書評家、北上次郎(目黒考二)の息子エッセイ。息子について書きながら、本も紹介してくれる。初めは息子のエッセイ部分が面白く、本の紹介は余計に感じていたが、読んでいくうちに、書評とエッセイが等価なのに気づく。息子と同じぐらい、本が好きなんだ。生け花の先生が花について書くように、本について書評家が身辺雑記も含めて書いているかと思えば腑に落ちた。息子の話も小さな時のエピソードから思春期に話さなくなり社会人になってはまた少し話すようになる様子も普通でいい。そこに同じトーンで本の紹介が入るのがちょっと狂気もいえる。2022/02/28
ぽてち
34
先日、図書館に行った際、新着コーナーに並んでいたのを何気なく手に取り、そのまま借り出した。北上さんの著作は何十年振りだろう。まさか同じ週に亡くなってしまうとは思いも寄らなかった。内藤陳さんの『読まずに死ねるか!』で冒険小説に目覚め、その後北上さんの薦める活劇小説に手を出した。いい時代だった。本書は家族に絡めた“書評エッセイ”で、毎回お薦め本が数冊取り上げられている。が、連載が2006年6月〜2013年5月と、ぼくにとって“冬の時代”だったため、既読はたった3冊。他の本も読みたいけれど新刊で手一杯だ。合掌。2023/01/27
スノーマン
22
今月一冊目。ゆっくりと味わった。エッセイなのでサーッと読めそうなものだが、この本はそうはいかない。タイトルにある通り、北上次郎さんの家族の話が中心だけど、各エピソードに付き紹介する本が、ことごとく面白そう。ミステリでもホラーでも、主人公一人ってことはない。どの物語の背後にも、家族がいるんだと、しみじみ。北上さん、平日は仕事場に泊まり、土日は競馬、という父親だったのに、息子二人との関係がすごく良い。距離感じゃないんだな。普通の家族は、ずっと一緒にいるから小言とか嫌なことも言って子供に嫌われるし笑 2023/07/06