出版社内容情報
ベネディクト・カンバーバッチ主演映画原作、5カ月連続刊行の最終巻
内容説明
母亡きあと、ぼくは憎しみも見送ることができるのか―ベネディクト・カンバーバッチ主演ドラマ原作、遂に完結!!
著者等紹介
セント・オービン,エドワード[セントオービン,エドワード] [St Aubyn,Edward]
イギリスの作家、ジャーナリスト。1960年生まれ。男爵家の末裔として生まれ、イギリスとフランスで育った。名門ウェストミンスター・スクールを経て、オックスフォード大学キーブル・コレッジに学んだ。“パトリック・メルローズ”シリーズの第1巻『ネヴァー・マインド』がイギリスの主要文学賞ベティ・トラスク賞を受賞。第4巻『マザーズ・ミルク』がフランスのフェミナ賞外国小説賞を受賞している他、英国最高峰のブッカー賞候補ともなった
国弘喜美代[クニヒロキミヨ]
大阪外国語大学外国語学部卒、翻訳家
手嶋由美子[テシマユミコ]
津田塾大学英文学科卒、翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ケイ
123
最終巻はさながら哲学書。タイトル「at last」があらわすように、パトリックが辿り着く境地。特にニコラスの言葉の含む響きは、何度も反芻して味わう。これは作者の仕上げた「失われた時を求めて」だと改めて感じる。プルーストの描く、ユダヤの血も入り、社交界の中心に近いようで少し離れた所で一族とその周りを描いたものとは違い、まさに中心にいた一族が時代の流れとともに綻びていく様子を、その末裔が財産の持つ呪いとともに語る。誰かにとっては悪魔でも、他の人にとっては助けの手をさしのべる人である、というのを噛み締める。2019/03/28
ヘラジカ
43
人間の弱さ醜さをこれでもかというくらい明け透けに描いてきたこのシリーズ。最終巻も容赦ないものの、登場人物が老いたため毒々しさは若干薄まっているようにも感じた。偶数巻と奇数巻で構成を変えているのか、この巻は1,3に近い群像劇で、再び一つのイベントにおける複数の心理面を描いている。ここになって明かされる両親の更なる邪悪さには胸が悪くなったが、子供の純真さと親子関係、加えてパトリックの帰着(しそうな)先には希望が見えて安心した。読後感はこれまでで最も明るい。1巻ではどうかと思ったが今は手にして良かったと思う。2019/02/21
星落秋風五丈原
17
パトリックにしてみれば決死の思いで打ち明けたのにあっけなく一言で母親に流されてしまう。父親の葬式で始まり母親の葬式で終わる物語。2020/05/20
Moca
17
実には母親(エルメア)は父親で(デビット)によって、 DV され、 強姦されて、第一子を亡くし、その虐待によって、パトリックを産まれたことで衝撃的だと感じさせられた。 パトリックは親に対する罪悪感と自己嫌悪を感じて しまい、惨めな人生を送ってしまったことを共感する。2020/03/03
Moca
15
まず父親が怖い !!母親が過保護になる気持ちはわかる !!父親はパトリックに性虐待していたけど母親にも最も深刻で、そのせいでパトリックは過去のトラウマのせいで、悪影響を受け麻薬中毒になったのではないかと思った。あまりにも恐怖で、一瞬、理性を失いかけた。えっ?えっ?ホラー??いかにも恐怖感を与えてしまった。一番、恐い!恐い!おぞましい!! 上流階級で裕福な家庭で生まれ育っていても、すべては幸せになるとは限らないんだ。2020/03/03