出版社内容情報
美しく博学な少女アーダとその従兄弟ヴァンの恋と愛欲の行方は?名手による精緻な新訳で贈る40年ぶりの再刊!
著者等紹介
ナボコフ,ウラジーミル[ナボコフ,ウラジーミル] [Nabokov,Vladimir]
作家、詩人。1899年、帝政ロシア時代のサンクトペテルブルクの名門の家に生まれる。ロシア革命後の1919年、ヨーロッパに亡命。ケンブリッジ大学のトリニティ・コレッジにてフランス文学とロシア文学などを学んだ。卒業後、ベルリン、パリに居を移すが、ナチス勃興後の1940年米国に移住、やがて帰化した。ヨーロッパ時代は、『ディフェンス』(1930)、『賜物』(1938)などの長篇をロシア語で発表、渡米後は英語で執筆を始め、少女愛を主題にした『ロリータ』(1955)が激しい論争の的となり、一躍世界的な名声を得た(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
遥かなる想い
157
下巻に入っても、ヴァンとアーダの愛の交歓は 続く。果てしなく繰り広げられる 夢のような 二人の関係は、実態がない妄想の世界のようであるのだが… 正直 途中から 投げ出したくなるような 延々と続く 単調な、不可思議な 二人の愛の物語だった。2018/06/09
優希
69
愛欲の関係は話が進むにつれ、より深くなっていきました。それは愛の地獄に囚われた2人だから歩む道があるようにも思えます。夢のようにも見える関係が単調な中、延々と続きますが、その愛の世界が妖しくも美しく輝いて見えました。幸せばかりでない様子があるからこそ、愛の世界に浸れたのでしょう。2018/09/14
NAO
60
究極のエロ小説のようなこの話には、たくさんの小説がパロディとして出てきたり、小説家が戯画化されて登場したりする。近代の小説のパロディをエロ小説の中でするというのが、なんともナボコフらしいというべきか。2020/07/13
syaori
43
「ああ、誰が取り返してくれるのかしら」。物語のライトモチーフとなるリフレインが歌うように、90のヴァンが書いたこの回想録は、あの最初の夏を取り返す試みだったように思います。ヴァンとアーダの道は離れたり交わったりし、そこにあるのは幸せばかりではないですが、ここに「至福が無限に詰まっている」と感じるのは過去の幸福が彼らの人生に差し「現在」が「輝く『今』」になるのを見ることができるから。それにしてもこの回想のなかで彼が取り返したそれは、何と利己的で暗いものをはらみ、それでいて何と美しい楽園だったことでしょう。2018/02/07
CCC
13
うまくキャッチできなかった。まずロシア語やフランス語の言葉遊びについていけないのがつらい。パロディはわかる部分もなくはなかったが、それも理解できたのはほんの一握り。詩のパロディとか英語すらおぼつかないレベルの自分には拾うのは無理ゾ……。一番キャッチできたのは肉欲的な部分だけど、残念ながらそこは興味が薄かった。脚注を見るとジョークの多い小説だけど、愛想笑いを浮かべるぐらいしかできなかった悲しさ。2021/09/29