出版社内容情報
世界的ヴァイオリスト前橋汀子が、いままで語られなかったその人生の歩みを振り返る。冷戦下のソ連への留学、ニューヨークでの修行時代、スイスで師シゲティと過ごした日々……。9月のサントリーホールを皮切りに55周年記念の全国ツアーが、この秋から開催!
内容説明
冷戦下のソ連留学、師との出会いと別れ…。世界的ヴァイオリニストがこれまでの歩みを語る―。
目次
第1部 生い立ち(ヴァイオリンを始める;ソ連に行きたい)
第2部 ソ連時代(ソ連で一から;ソ連を生き抜く;最高の教育を受ける;病に倒れる)
著者等紹介
前橋汀子[マエハシテイコ]
日本を代表するヴァイオリニスト。2017年に演奏活動55周年を迎えた。その演奏は優雅さと円熟味に溢れ、多くの聴衆を魅了してやまない。国内外で活発な演奏活動を展開し、世界の第一線で活躍するオーケストラや音楽家との協演を重ねている。近年、小品を中心とした親しみやすいプログラムによるリサイタルを全国各地で展開、好評を得ている。2004年日本芸術院賞受賞、2007年第37回エクソンモービル(現・東燃ゼネラル)音楽賞洋楽部門本賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ケニオミ
12
「運も才能のうち」とは言いますが、この人ほど幸運の女神に愛された人はいないのではないでしょうか。幸運の女神は、目隠しをして一輪車に乗っているらしいですので、幸運の女神の後ろ髪を掴むため、チャンスを逃さない努力をしていたことも頷けます。断然彼女の演奏が聴きたくなりました。2017/11/22
ソバージュ
10
五木寛之さんとの対談で興味を持ち手に取る。1961年高校生で3年間ロシア留学し、その後アメリカ留学やスイス滞在され研鑽を積まれた前橋さんの回想録。同窓生として大物演奏家の名が列記され驚く。冷戦時代の各国のレッスン体制や演奏家としてやっていく為の様々な努力が興味深い。娘に生の音楽を聴かせるためチケットを1枚だけ購入し毎度お母様はロビーで待たれていらしたとのこと。昔の自分と重ね、親への感謝の念で胸が熱くなった。2019/05/05
おせきはん
10
旧ソ連出身の先生のレッスンを受けてから旧ソ連、米国、スイスと、よき師を求めて外国で修行を続けられた時代までが中心に書かれています。演奏活動を55年続けてこられても「その都度ベストを尽くして演奏はするけど、つねに『もっと成長したい』と思っている以上、頂点にたどり着くことはありません。…私はいまもその山を登り続けています。」と語る姿勢に感銘を受けました。前橋汀子さんの演奏を、ぜひ聴きたいと思います。1961年に旧ソ連に留学されたのは、現在では想像がつかないほど大変なことだったようです。2018/01/11
trazom
9
決して自分を自慢するのでも、他人を批判するのでもなく、自らのヴァイオリン人生を淡々と追想して書かれているという意味で、「回想録」という副題がぴったりする。子供のころから引っ込み思案だったという前橋先生のシャイな性格が文章から滲み出ている。お父様、お母様、妹など家族への感謝の気持ち、これまで師事した錚々たる先生方への尊敬の気持ちが文章の中に溢れていて、心が洗われるような思いで読むことのできる本であった。2017/10/02
おとん707
7
世界的ヴァイオリニスト前橋汀子の回想録。思いがけず前橋さんとお話しする機会があり(詳細は9月15日付毎日新聞日曜版参照)、そのご縁でこの本をいただき、一気に読了。戦中に生まれ日本人の留学など困難の極みだった冷戦時代のソ連に留学し、アメリカで自力でプロのキャリアを切り開き、のちに巨匠シゲティに師事し世界的ヴァイオリニストとなっていく。そこには眩しいばかりの20世紀の巨匠達との暖かい交流がある。あの素晴らしい演奏の源泉を見る思いがする。益々円熟の演奏を続ける前橋さん。お元気で末永く活躍してほしい。2019/09/19