内容説明
小学校で出会った、リラとわたし。反抗的で横暴で痩せっぽちなリラ。でも、ずば抜けた頭脳を持つ聡明なリラ―。一九五〇年代ナポリ。時に暴力的な下町で、少女ふたりは友人となり、嫉妬や憧れを投げかけ合いながら大人になっていく。戦後のイタリア社会を舞台に、猛々しく奔放なリラと本好きのエレナの複雑な絆を描いた世界的ベストセラー。
著者等紹介
フェッランテ,エレナ[フェッランテ,エレナ] [Ferrante,Elena]
1943年、イタリア、ナポリ生まれの作家。1992年に作家デビュー。2016年にはタイム誌により“世界で最も影響力のある100人”に選出された
飯田亮介[イイダリョウスケ]
1974年生、日本大学国際関係学部国際文化学科中国文化コース卒、中国雲南省雲南民族学院中文コース履修、イタリア・ペルージャ外国人大学イタリア語コース履修(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ミカママ
259
【英訳】これは、、、ポストモダンな『赤毛のアン』?!ていうか、セキララなバージョン?(笑)んでもってここでおしまい⁉️続編も読めということですね、ハイ。2018/02/25
ケイ
145
ナポリの貧しい街。戦後に物心ついた世代の半生を、レヌーが語る。沢山の登場人物。脇役なんて誰もいない。貧乏で暴力的で遠慮がない人々。復興の時期だからこそ上向く生活、親達と起こる葛藤。福祉も充実していない時代。生まれた家で決まってしまうことがある。その中でも抜きん出た才能を持ったらどうする? リラ、あなたはどうなってしまうのだろう。子供時代も親として子育てする時代も最初に付き合う相手を誰にして何をするかもみんな一度きりしか経験できない。失敗しないなんて無理。だから彼らの生活を息をのんで見守る。次巻が待てない…2017/11/13
しいたけ
96
ガツンと熱い、リアルな少女に衝撃を受ける。舞台は1950年代、戦後のナポリに始まる。あとに続く一大抒情詩の、ほんの導入なのだろう。そこで胸を鷲掴みされたわけだ。二人の生命力に惹きつけられる。その顔を太陽の光に射抜かせようと、海の底で足掻く二人。時には相手を沈めながら、時には手を強引に引っ張って。『ふたり一緒ならばそれができる。世界の色も音も森羅万象も人々も丸ごとひとつかみにして語り合い、物語に力を与えることができる」。彼女らが駆け抜けた人生のその先を、はやく知りたくて焦らされる。2017/07/17
天の川
60
66歳のリラが失踪した。リラについて詳細を残そうとするエレナ。1巻目は小学校から16歳までだ。1950年代のナポリの貧困地区は父親が君臨し、兄弟は姉妹に目をつける男を叩きのめし、暴力沙汰が日常茶飯。二人のつきあいも一筋縄ではいかない。予測不能な行動と明晰な頭脳を持つリラに翻弄され、従属し、対抗心や優越感を持つエレナ。それはきっとリラも。女の友情の複雑怪奇さを2人に見る。天才的頭脳を持つリラは結婚して地区にとどまり、高学歴を身に着けたエレナは地区に見切りをつけようとしている。少し辟易としつつ、続きも気になる2024/05/01
ヘラジカ
53
これぞ小説、これぞ物語。一年に一冊でもこういう作品に出会えれば、他人の評価を待たずに新刊を買い続けることも報われるというもの。ナポリの田舎町を舞台にした明快な青春小説だが、描かれるエピソードや心理描写には重厚感があり読み応えたっぷり。「リラとわたし」の物語でありながらも家族同士のドラマが丁寧に作り込まれているので、優れた群像劇としても楽しめる。約一年前は『ゴールドフィンチ』に夢中になったが、この作品はそれを上回るほどに熱中して読んだかもしれない。後半始まってすぐに出会った年間ベスト候補。(2017・46)2017/05/08