出版社内容情報
卒業式に向かっていたはずの中3少女たち。目覚めると奇妙な貼り紙が。「ドアの開けられた部屋の数をn、死んだ卒業生の人数をmとする時、n-m=1とせよ」――乙女たちの超脱出ストーリー。
内容説明
卒業式会場の講堂へと続く狭い通路を歩いていた中3の仁科羊歯子は、気づくと暗い部屋に寝ていた。隣に続くドアには、こんな貼り紙が。卒業生各位。下記の通り卒業試験を実施する。“ドアの開けられた部屋の数をnとし死んだ卒業生の人数をmとする時、n‐m=1とせよ。時間は無制限とする”羊歯子がドアを開けると、同じく寝ていた中3女子が目覚める。またたく間に人数は13人に。脱出条件“卒業条件”に対して彼女たちがとった行動は…。扉を開けるたび、中3女子が目覚める。扉を開けるたび、中3女子が無限に増えてゆく。果てることのない少女たちの“長く短い脱出の物語”。
著者等紹介
矢部嵩[ヤベタカシ]
1986年東京都生まれ。2006年『紗央里ちゃんの家』で第13回日本ホラー小説大賞長編賞を受賞してデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
てち
108
な、なんじゃこりゃと読み終わった後感じた。単なるデスゲームかと思ったらそうではなかった。2章からは、デスゲームに関してアンチテーゼを投げかけている。 これは、稀にみる奇書である。設定ありきなとこはあるが、このクレイジーさには脱帽だ。2020/11/25
おかむー
72
なんとも評価のしづらい異形の作品。表紙イラストのイメージで読むとひどい目にあいますね。『もうすこしです』。卒業式へ向かう中3の少女が目を覚ますとそこは見知らぬ小部屋のなか、扉の先には同じ部屋と少女がどこまでも…脱出の条件はひとり生き残ること。『SAW』『CUBE』のようなシチュエーションスリラーかと思えば一旦話が終わってから想像を超える方向へ展開する『補遺』がこの作品の本番という感じ。思考実験と捉えるか壮大な妄想と捉えるか…いずれにせよ悪趣味なインモラルに満ちている作品なので人にはオススメしづらいですね。2015/04/27
ゆかーん
64
この話に終わりはあるのでしょうか?ぐるぐると連鎖する摩訶不思議な話に、頭は混乱してばかりでした。卒業式に向かうはずだった中学三年生の少女たち。でも、気がつくと暗い部屋に閉じ込められ、そこには『卒業試験を実施する。ドアの開けられた部屋の数をnとし、死んだ卒業生の人数をmとする時、n-m=1とせよ。』という紙が貼られていました。脱出を試みる少女たちの苦悩と葛藤が、とてもシュールにリアルに殺伐と描かれたいます。どこまでも終わりのない、殺し殺される世界に、バトルロワイアルよりも悲しく切ない結末を垣間見ました。2017/05/14
オフィーリア
56
いやあブッ飛んでますね。ドアの開けられた部屋の数をnとし死んだ卒業生の人数をmとする時、n‐m=1とせよ。このデスゲーム要素MAXのあらすじから産み出されたのはまさかの壮大な人類の歴史をなぞる物語。いやもう発想のスケールが違いすぎます。おみそれしました!2024/05/08
harass
54
角川ホラー大賞出身の著者の最新作。なんとハヤカワSFから本が出た。卒業式の日、女子中学生は目覚めると見知らぬ部屋にいた。ドアには卒業試験の張り紙が。ドアを開けると隣の部屋には見知らぬ女子学生がいる。卒業試験の内容は、自分以外の生徒を皆殺しにするというのだが。全210ページで、表題作は、約50ページのみ。残りは「少女庭国補遺」こっちが本番。単なる閉鎖ものホラーかと思っていたのだが、展開が変わる。連想する小説をいくつか思い浮かべていたが…… 何だこの世界…… この奇妙な表題を何度も思い返した。ぜひ一読を。2017/02/05