出版社内容情報
素肌改善、アンチエイジングから、人体改変まで――美容+医療を謳う革新的な企業コスメディック・ビッキーは、人々の美意識、そして生の在り方までを変えていくが……著者五年ぶりの最新連作集
内容説明
東京湾に新設された超巨大フロート建造物“プリン”のメインテナント“サロン・ド・ノーベル”には、美容に関するすべてが収められていた。理想の化粧品や美容法を求めて彷徨う“コスメ・ジプシー”たる岡村天音は、大学の先輩が生まれ変わったような肌をしていることに驚く。彼女は“美容+医療”を謳う革新的な企業コスメディック・ビッキーの“素肌改善プログラム”を受けたというのだが…。やがて“ビッキー”は、アンチエイジング、身体変工などの新商品を次々に発表し、人々の美意識、そして生の在り方までを変えていく―『永遠の森博物館惑星』に続く、著者5年ぶりの最新連作集。
著者等紹介
菅浩江[スガヒロエ]
1963年京都府生まれ。高校在学中の1981年、「SF宝石」誌に短篇「ブルー・フライト」を発表して作家デビュー。数年のブランクの後、1989年の第1長篇『ゆらぎの森のシエラ』で活動再開。『永遠の森博物館惑星』(ハヤカワ文庫JA)は、「ベストSF2000」国内篇第1位、星雲賞、日本推理作家協会賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
nyanco
44
菅さんに出会ったのは「カフェ・コッペリア」このミスにランキングされ、気になって読み、なんかスゲ~!っと感じた作品。SF、あまり読まなくなってしまったのだけど、久しぶりに素晴らしい世界観を持った作家さんだと思いました。本作は5年ぶりの連作集ということで楽しみにしていました。『化粧』をテーマにしてこれだけ書けてしまうってやっぱり凄い。神話のような冒頭の物語から、現代(近未来)の物語に突如変わる。コスメ好きが集まる『サロン・ド・ノーベル』、女の子たちの会話がとても自然で物語の導入が非常に良かった。続→2013/12/01
まつじん
32
すべての女性へ、そして化粧なんてくだらない、なんて思っている男性に読んで欲しい一冊です。かくいうワタクシめも目からウロコが落ちそうです。菅浩江さんの書く連作短編集は恐ろしい破壊力を持っていますね。2013/12/01
ひさか
28
SFマガジン2008年4月号から2013年9月号までに発表された10編の連作短編。美容、医療、人体改変、精神改変、果ては宇宙進出、異星人交流まで進んでしまうお話には、驚いてしまいました。少し無理のある世界観のように思いますが、アイディアはとても良く、インパクトがあります。楽しめました。2014/01/13
むつぞー
27
近未来の新しい化粧+医療をうたった企業・ビッキー。この企業がどこへ進んでいくかをあつかったSFでもあります。化粧がこんなところまで行ってしまうのか~という驚きもありますが、美とは化粧とはという部分の本質の物語に考えさせられます。 そして所々に挟まれる化粧をするというのはどういったことなのか、原点はどこにあったかを描き出す太古の世界。ここが物語に広がりと深みを与えていたように思います。 この物語女性のほうが受け取りやすい気がします。 男性は化粧ということにどう思うかしら?2013/12/01
更紗姫
23
身近なアイシャドウ(サブリミナル)から、海洋環境(人工鰓)、そして宇宙(全身アンテナ)へとステージが広がる過程が、実にスムーズで、めくるめく展開に「あな、面白や」とのめり込む。〈素肌改善プログラム〉やアンチエイジングも魅力的だが、〈ステラノート〉は素晴らしい。そうだよね、香や匂いは化粧の範疇とされるが、本当は人が混ざり合って暮らす上で、根源的な課題。特に〈メディカル・ステラ〉が実現したら、介護する人もされる人も、どれ程 楽になる事か。読み終わって、新しい口紅を買いに行きたくなった。2014/09/21