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出版社内容情報
弁護士が足を踏み入れたのは危険な麻薬取引の世界だった。リドリー・スコット監督、マイケル・ファスベンダー主演映画化、本年11月15日日本公開決定。アメリカの巨匠が書き上げた戦慄の脚本登場
内容説明
麻薬取引に手を染めた弁護士の男。一度儲ければそれでおしまいのはずだった。しかし、彼は自分がいつの間にか断崖の縁に追い込まれていることに気づく。そして彼にも、彼の周囲にも容赦のない暴力が襲いかかる―ピュリッツァー賞を受賞したアメリカの巨匠が描く傑作クライムサスペンス。映画脚本。
著者等紹介
マッカーシー,コーマック[マッカーシー,コーマック] [McCarthy,Cormac]
1933年、ロードアイランド州生まれ。大学を中退すると、1953年に空軍に入隊し四年間の従軍を経験。その後作家に転じる。「国境三部作」の第一作となる第六長篇『すべての美しい馬』(1992)で全米図書賞、全米批評家協会賞をダブル受賞した。第十長篇『ザ・ロード』(2006)はピュリッツァー賞を受賞した。名実ともに、現代アメリカ文学の巨匠である
黒原敏行[クロハラトシユキ]
1957年生、英米文学翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Y2K☮
40
人物の名前は重要。でも著者が意図的にその名を冠せずとも、ある種の使命を帯びたキャラは自ずとそれに相応しい方角へ落ち着くものだ。あの人の役割は偶然与えられた名から逆算されたのかも。そして唐突に始まる暴力の連鎖。なのに事情は詳しく語られず、切り取られた台詞と緻密過ぎる風景描写のみ。映画脚本だからというのもあるが、そもそもマッカーシーはこういう作家だった。凄惨な流血や不条理な戦争に人生の美を感じたとしても彼はそれを明快な美としては描かない。仄めかすのみ。今作ならチーターだし某作品では判事のダンス。他も読まねば。2019/06/24
市太郎
35
映画脚本。一度だけの大もうけをたくらんで弁護士が麻薬密売に手を出すが、いつの間にか自分が後戻り出来ない地獄の十字路に立たされていることに気づく。ちょっと残酷過ぎじゃないかと。著者の文体は映像向きであることは否定しないけれど出来たら小説を読みたかった。意図的だろうが説明不足の感じは否めない。かといって難解というわけではないし。映画のキャストは豪華だがはたして受け入れられるかどうか。僕はこれを読んでこの世界に生きていることが不安になりました。特に父親の存在意義についてのところはへこんだ。現実を直視出来ません。2013/10/12
こうすけ
28
マッカーシーのオリジナル脚本。映画を見たときはなんだこれ、という感じだったが、シナリオで読むと会話がかっこよすぎてガンガン読める。監督のリドリー・スコットもダイアローグに引かれたとのこと。「イエスがなんでメキシコで生まれなかったか知ってるかい?三人の賢者も処女もいないからさ」とかいう台詞がいちいち出てくる。マッカーシーの現代劇は貴重なので、その意味でも読む価値あり。ふつうの映画がエンドマークを打つところから物語がはじまる。2025/04/06
kazi
27
マッカーシーによる映画脚本。リドリースコット監督で映画化。有名作「血と暴力の国」に非常に近いものを感じます。麻薬取引に手を染めた弁護士。簡単に儲けて、一度きりでおしまいのはずだった。しかし彼は、自分がいつの間にか断崖の淵に追い詰められていることに気付く。マッカーシーに関しては会話文多めの独特な文体のせいか「読みづらい作家」というイメージがあったが、今作は非常に楽しめました。犯罪の詳細が明らかにならず、闇から闇へと消え去っていく展開にゾッとしました。絶対こんな目に遭いたくない。以上、レビュー終わり!2020/12/30
新田新一
24
私は作者の『ザ・ロード』や『すべての美しい馬』が好きです。この本も小説だと思って、図書館で手に取ったのですが、映画の脚本でした。『すべての美しい馬』のような詩的な文章は影を潜めて、ハリウッド映画のようなセリフが続いていきます。内容が掴みにくくて、読んでいて混乱しました。ただ、救いのないところは『ザ・ロード』と同じで、圧倒的な暴力の前で、人は無力であることが分かってきます。最後は哲学的です。暴力に満ちた世界でどう生きるかという女性の言葉には凄みを感じました。2024/07/07