出版社内容情報
〈全米批評家協会賞・PEN/マラマッド賞受賞〉さまざまな時代や土地を舞台に、簡潔で深い筆致で描き出される人のあり方。三十四篇を収録したユダヤ系アメリカ人作家の集大成となる傑作短篇集
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
miyu
39
今まで知らずにいたのが口惜しい。まるで夜の帳にそっと囁く宝石のようだ。ほんの一瞬のシーンを描きながらも人が歩んできたであろう年月を読み手に難なく披露し悟らせる。一方である一生を淡々とダイジェストのように語り続ける作品もある。私たちはそこに描かれない感情や行動を想像し、登場人物に寄り添うように物語の中に入り込む。人の一生は短いようで長く、また、長いようで短い。胸をつく喜び、わけもない憤り、耐えきれない哀しさ、その不可思議な真実をパールマンは鮮やかな魔法のように提示しつつ自由自在に語り尽くす。とてもよかった。2020/09/22
かんやん
36
「今あなたが手にしているのは宝物です。この本を持って無人島へ行けば、読み終わる度に最初に戻っていくらでも読み返せることがわかるはず。絶望はここに登場しません。絶望を描くのは自恃を描くよりはるかにたやすいのです」アン・パチェット序文より。短編集というよりselected works。迷子になった女児が未来を垣間見る「上り線」(1977)から、癌に犯された老医師が人生を振り返る「自恃」(2010)まで33年間の34篇。確かに小説の目利きが大切にするような選りすぐりの作品がズラリと並ぶけど、全集のようなぶ厚さ。2021/01/02
りつこ
33
恐ろしく良い。とても静かでとりとめがないようなのにぞっとするほど良いのだ。なんだこれは。共感とは違う、理解したとは言わないけれど少しだけ理解してると言わせてね、とおずおずと手を差しのべるような気持ちになる。日常のなかに忍び込む破滅に繋がる裂け目。よく知る隣人の思いがけない真実。あっという間に入れ替わる好意と悪意。畏敬の日、非戦闘員、族長、テス、忠誠、コート、双眼鏡からの眺め、女房、自制心がいい。自恃がとりわけ好き。2013/07/29
tom
25
とってもよろしい短編集。でも長大すぎる。頁をめくるにつれて、腹が膨れてきて、少々疲れて読了。前半の過去の名品集は、心ときめく感じだけど、後半の新しい作品は、年寄りの悲哀が疲れを増す感じかも。ホロコーストを逃れて、バイオリン一丁を持って転がり込んできた少女。生活費を得るため、通りがかりの人たちが喜ぶように編曲し、楽器を奏でる。このあたり、音が聞こえてくるような雰囲気。ピアノとチェロの二重奏をする若い男の子ふたりも登場するが、晩年の姿には、悲哀感が残る。二分冊になっていたら、もう少し楽に読めたのかしら。2020/10/10
のりすけたろう
23
色んな感じの短編が入っていて、楽しめました。時たま、よくわからない話もあったけど。笑 他のも読んでみたくなりました。短編はあんまり好きじゃなかったんだけど、見方が少し変わったような気がします^ - ^✨2020/09/09
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- 和書
- 秋日和