出版社内容情報
現実とはかかわりのない思考の産物である数学が、なぜここまで役に立つのか。数理科学から芸術、言語学まで、著者の振舞う広範な話題と図版を愉しみつつ数学の根幹に触れることのできる科学解説
内容説明
「数学はなぜ、あり得ないほど役に立つのか」という古くからの謎について、『黄金比はすべてを美しくするか?』の著者が解説する、ポピュラー・サイエンス。
目次
第1章 謎
第2章 神秘主義者たち―数秘術師と哲学者
第3章 魔術師たち―達人と異端者
第4章 魔術師たち―懐疑主義者と巨人
第5章 統計学者と確率学者―不確実性の科学
第6章 幾何学者たち―未来の衝撃
第7章 論理学者たち―論理を論理する
第8章 不条理な有効性?
第9章 人間の精神、数学、宇宙について
著者等紹介
リヴィオ,マリオ[リヴィオ,マリオ][Livio,Mario]
宇宙物理学者。アメリカの宇宙望遠鏡科学研究所にあるハッブル宇宙望遠鏡科学研究所の主任天体物理学者/広報アウトリーチ室長。宇宙の膨張からブラックホール近傍の物理現象、知的生命の創出など、関心は広い。著書に国際ピタゴラス賞とペアノ賞を受賞した『黄金比はすべてを美しくするか?』、など多数
千葉敏生[チバトシオ]
翻訳家。1979年神奈川県生まれ。早稲田大学理工学部数理科学科卒業(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
やいっち
21
古代ギリシャ(あるいはその前から?)の昔から、数の持つ想像を絶する力には多くの哲学者らが問いを投げかけてきた。紀元前にユークリッド幾何学が体系化されていた(これが現代においても基本だということに驚く)。数学の持つ異常なまでの有効性は何故なのか。そもそも多くの定理や証明などの数学的構造は、発明なのか発見なのか。その問いかけは、哲学や芸術などのジャンルを超えて、永遠の謎として、これからも探求が続いていくのだろう。マリオ・リヴィオは、数式を一切使わず、門外漢の自分にも興味深く読めるよう説いてくれている。 2017/09/28
34
20
テーマは「自然科学における数学の不合理な有効性」。ユージン・ウィグナーの有名な講演タイトルとして知られるこの表現は、なかなかおもわせぶりなところがあっておもしろい。数学がこの世界を解明する道具としてかくも有能なことに対して、一見して納得できる理由は世界のうちに存在しないのだ。本書はポピュラー・サイエンスとして、この深遠なテーマに軽妙なエピソードを交えながらアプローチしている。テーマがはっきりしていてブレないことと読み物として楽しいことから、意外な結論を期待しなければ満足できる内容かとおもう。2017/06/08
小太郎
16
数学はどうしてこんなに現実を上手く表現できるのか?という数学の不条理な有効性を縦糸に、数学は発明か発見かという謎を豊富なエピソードと共に読ませる数学史でした。自分にとっては刺激的な読書体験でした。宇宙は数学で語られるって言うのは本当なんだなあ~。2018/11/22
Arowana
9
数とは?論理とは?客観とは?真理とは?とても知的興奮に満ち溢れたテーマなのでタイトルに強く惹かれる方はどうぞ。発明と発見の違い、数学と論理学と物理学の違いなどの話も改めて勉強になりました。やはり計測機能(認識能力)にも物質的・主観的限界が有るのかも。2014/11/30
Mentyu
5
すごく面白かった。数学は人間が作り出した思考の体系か、あるいは、数学的な事象は「真実」として、人間とは関係なく存在しているのか、この問題に数学史・科学史を基軸として取り組んで行くスリリングな内容。本書では取り上げられていなかったけど、ポストモダン以降の構築主義ブームも、数学観に影響したのだろうか気になった。(あるいは、そもそも論外として数学者たちは歯牙にもかけなかったのか...)2023/05/23