内容説明
めっぽう将棋が強くて玉の肌。利発で可愛い十五歳の“花魁見習い”おぼろは、将来最高の花魁になると誰もが太鼓判を押していた。が、彼女には困った趣味があった。「隠密ごっこ」と称し、廓の裏で起こる黒い事件に首を突っ込むのだ。ある花魁見習いが忽然と消失した謎、不可解な無理心中、腕の入れ墨を抉り取られた最高位の花魁の殺害…虚実入り混じる男と女の世界で、おぼろが明らかにする真相とは?遊廓独自の美学と人情が横溢する、新鋭の時代ミステリ。
著者等紹介
長島槇子[ナガシママキコ]
東京都品川区生まれ。東洋大学卒。演劇活動の後、NHK名古屋局のシナリオ・コンクールに入選。2003年『旅芝居怪談双六』が第3回ムー伝奇ノベル大賞入選となり、作家デビューをはたす。2007年『遊郭のはなし』にて第2回『幽』怪談文学賞特別賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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真理そら
43
タイトル通り純情な遊女屋の息子・徳治郎と幼馴染の振袖新造・おぼろが隠密ごっこをするという趣向の軽いミステリー。遊女の誠を信じて身を持ち崩したり身代を潰しそうになったり…。足抜けや心中に疑問を持って調べてみると意外な事実が見えてきたりする。吉原物としてもミステリーとしても軽い作品だが、おぼろと徳治郎のキャラがいいので続きを読みたくなる。2019/06/20
カピバラ
16
今までの吉原物語としては、あっさりとしていて読みやすかった。2014/07/19
ドナルド@灯れ松明の火
15
吉原大籬お抱えの花魁見習い振袖新造のおぼろの隠密ごっこ。吉原から出ないで廓に絡む事件の推理を行っていく。続編を期待したいが、もうすぐおぼろは突き出しとなってしまう。花魁になったら隠密ごっこもおしまいかも。ちと残念。2011/10/20
むつぞー
10
ミステリ部分はご都合主義では?と思う部分もありますが、郭ならではの感じが好みな作品でした。 ウブなお坊ちゃん徳治郎とおぼろの、まさに純情としか言えない恋。 吉原という場所にあるからこその対比もあって、なんともこれが可愛らしく映るんです。 だから本当はおぼろが花魁となるのも見てみたいんだけどなぁ。本当どうするんだろ?この続きも読んでみたい気もするけど、この淡いままにしておくのもいいかもしれない。 そして最終話の花魁・月都がとても素敵。彼女を含め廓ならではの駆け引きや、女の意地といった部分も好み。2011/10/19
ショコラテ
9
前作イマイチでしたが、廓の話は好きなのでトライしてみました。花魁の生んだ子供であるおぼろと、亡八の息子なのに初心な徳次郎のキャラは良かったです。が、謎解きとしても恋物語としても中途半端な印象。最期の月都に全てを持って行かれた感じでした。2011/11/06




