内容説明
香川県善通寺市に本拠地を置く対キッカイ要撃組織・フタナワーフの部隊は、身近な者たちの死を乗り越えた栂遊星の驚異的な活躍もあり、第一次要撃戦にかろうじて勝利する。だがその代償はあまりに大きく、フタナワーフは精神的支柱たる全権司令官を失っていた。また、遊星のガールフレンド・公文土筆は、日本政府に軍事技術の放棄を迫る思想集団と行動を共にするようになる。その裏切りとも取れる活動と逃亡の事実に、遊星は計り知れない無力感を覚えた。だがそんな最中にも、対キッカイ第二次要撃戦の予定日は刻々と近づいていた…。進化を繰り返し、さらに強大になっていくキッカイを倒すことは可能なのか。地球に現われた渡来体の真の目的は何なのか。異星生命体と二足歩行兵器との、誰も見たことのない驚愕の総力戦が待ち受ける。
著者等紹介
三島浩司[ミシマコウジ]
1969年生まれ。関西大学工学部電子工学科卒。電気関連会社退社後、小説執筆を続ける。『ルナ Orphan’s Trouble』で第4回日本SF新人賞を受賞し、同作で2003年にデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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けい
69
上巻に引き続き、戦闘描写は圧巻。下巻の大きな要素は組織と個人。国家と国家、組織と組織の争いがクローズアップされます。組織内の権力闘争と国家間の力関係の変化、それによる個人の考え方の変化を描き出します。しかし、個人の強き意志はそれぞれの心の中で引き継がれ、物語の方向は個人の強き思いに託されます。あくまで個レベルでの決着を望む登場人物達(筆者の思いでもあるのか?)その先にあるのは・・・。終盤の決着は納得できない部分もありますが、大筋のながれでは納得。独特の世界観を楽しめた作品でした。2014/10/13
海猫
37
ロボットSFということでこれまでのロボットアニメ等を連想する瞬間もあるが過去のどの作品にも似ておらずオリジナリティー溢れる作品だった。巨大ロボをメインに描いたというよりはまぎれもなく本格SFであろう。中身が濃すぎる上、独特の癖のある小説なので読むきるのにえらい時間が掛かった。このへんもうちょっとエンターテイメント性を重視してリーダビリティを上げてほしいと思う反面、そうしてしまうと尖りを削ってしまうし独自性も落とすことになる気もする。バランス次第ででさらに上に行けた作品だと思うんだけどな。それでも大力作。2013/10/07
ひさか
26
巨大ロボットものというジャンルが珍しくて良い。ファーストコンタクトものとしても興味深かった。やや荒削りな出来で、読みにくい部分が多いが、それを超える世界構築、アイデア、センスオブワンダーがあり、楽しめた。加藤直之さんのイラストが良く、ダイナミックフィギュアの形はこれ以外考えられなくなってしまった。立体化されたものが見てみたいです。2013/06/01
まつじん
15
う~ん、なんか予想した範囲内のハッピーエンドで終わっちゃいましたね。2012/08/18
なしかれー
10
下巻。リアルロボットからスーパーロボットへ。上巻であれほど存在感たっぷりだったキッカイさんの影の薄さたるや…。。個人的に書き出すときっと止まらないほどの疑問があるのだけれど、それはこちら側に委ねられたと考えていいのかな。でもまぁ、突然の熱血最強槍の登場と、個を優先させた遊星の決断、佐々さんの筋を通す強かさに、ちょっと興奮したので、気にしないようにしよう。…でもやっぱり気になる。外伝とか出して補完してくれないかな。。2013/07/24