オリクスとクレイク

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ B6判/ページ数 472p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784152091819
  • NDC分類 933
  • Cコード C0097

内容説明

人類がいなくなった海辺で、スノーマンは夢うつつを漂っている。思い出すのは、文明があったころの社会。スノーマンがまだジミーという名前だった少年時代。高校でめぐりあった親友クレイクとかわした会話。最愛の人オリクスとのひととき―。誰がこんな世界を望んでいたのだろうか。そして、自分はなにをしてしまったのだろうか。カナダを代表する作家マーガレット・アトウットが透徹した視点で描き出す、ありうるかもしれない未来の物語。

著者等紹介

アトウッド,マーガレット[アトウッド,マーガレット][Atwood,Margaret]
1939年、カナダのオンタリオ州オタワ生まれ。トロント大学、ハーバード大学大学院などで英文学を学んだ後、カナダ各地の大学で教鞭を執る。1966年に詩集『サークル・ゲーム』でデビューし、カナダ総督文学賞を受賞。1985年の『侍女の物語』(ハヤカワepi文庫刊)でアーサー・C・クラーク賞と二度目のカナダ総督文学賞を受賞。1996年の『またの名をグレイス』でギラー賞を受賞。2000年には『昏き目の暗殺者』(早川書房刊)でブッカー賞およびハメット賞を受賞した

畔柳和代[クロヤナギカズヨ]
1967年生、英米文学翻訳家、東京医科歯科大学教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

この商品が入っている本棚

1 ~ 1件/全1件

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

こーた

219
どうやら世界はスノーマンただひとりを残して、かつてあった文明はみな滅んでしまったあとであるらしい。彼のほかに残されたのは〈クレイクの子どもたち〉ばかりで、それらにスノーマンが語るのは、彼がジミーとよばれていたころの物語だ。それは破壊の物語なのに、欺瞞で塗り固められて神話のように創造的で、記憶を遡るほど未来に近づき、いまの暮らしこそ太古の昔のように原始的だ。未来の過去には何が起きたのか。オリクスとクレイクとは誰か。ぼんやと浮かんでくる、記憶のなかにある未来と、そのあとに残された世界をめぐる物語。2019/05/30

ケイ

132
遺伝子操作と温暖化が進んだ未来。アポカリプス的世界で生きのびている男は語る...。SFにうってつけの世界。要するに、設定に新しさはない。このジャンルに限ったことではないが、使い古されたような背景をもつ作品がひしめき合う中で明らかに異彩を放つ作品、小石の群の中でいくつかキラリと光る原石のような作品を書き上げられる作家の一人であるのだと改めて思った。スノーマンは、なぜ一人なのか。それを知るのには、彼が語る少年時代からの話に耳を傾けなくてはならない。本を閉じて表紙を改めて見れば、ボッシュのあの絵。さもありなん。2018/12/18

藤月はな(灯れ松明の火)

84
人類は滅亡しました。遺伝子操作による新動物・新植物の創造、デザイナー・ベイビーに謳歌していた人類に何が起こったのか?その物語は生き残った人類、スノーマン(ジミー)から語られる。ジミーは成熟を拒んだ子供だった。常に人に「何故?」と問いかけながらも現実や都合の悪いことには見ようとも聞こうともしないジミーにはイラつくしかない。しかも貧困のため、美人局、性的奉仕を割り切って行ってきたオリクスの話に対し、「僕がそこにいたら奴らに復讐するのに」と言うジミーの姿は男の自己陶酔系ヒロイズムに満ちていて本当に厭らしいです。2016/10/16

紅はこべ

54
そうか、アトウッドってSF作家でしたね。世界観が理解できるまでは苦労したけど、その後は一気読み。美しい。2011/09/28

ヘラジカ

50
「100 Great Works OF Dystopian Fiction」より。『洪水の年』刊行記念に読了。『侍女の物語』の作者によるもう一つのディストピア。あちらよりも待ち受ける未来は科学的に細かく描写され、苛烈にしてグロテスク。要するによりSF感がある。ストーリーテリングの巧みさはこれまで読んできたアトウッド作品のなかでも随一で、スノーマンのオリクスとクレイクとの過去に迫るにつれて世界崩壊の真相が明るみに出るという構成も素晴らしい。アトウッドで一番好きな作品『キャッツアイ』に勝るとも劣らない傑作。2018/09/22

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/1862943
  • ご注意事項