オリーヴ・キタリッジの生活

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  • サイズ B6判/ページ数 408p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784152091628
  • NDC分類 933
  • Cコード C0097

内容説明

アメリカ北東部の小さな港町クロズビー。一見静かな町の暮らしだが、そこに生きる人々の心では、まれに嵐も吹き荒れて、生々しい傷跡を残す―。穏やかな中年男性が、息苦しい家庭からの救いを若い女性店員に見いだす「薬局」。自殺を考える青年と恩師との思いがけない再会を描いた「上げ潮」。過去を振り切れない女性がある決断をする「ピアノ弾き」。13篇すべてに姿を見せる傍若無人な数学教師オリーヴ・キタリッジは、ときには激しく、ときにはささやかに、周囲を揺りうごかしていく。ピュリッツァー賞を受賞した珠玉の連作短篇集。

著者等紹介

ストラウト,エリザベス[ストラウト,エリザベス][Strout,Elizabeth]
1956年にメイン州ポートランドで生まれる。第一長篇『目覚めの季節エイミーとイザベル』(1998)でオレンジ賞とペン/フォークナー賞の候補となり、“ロサンジェルス・タイムズ”新人賞および“シカゴ・トリビューン”ハートランド賞を受賞。第二長篇Abide with Me(2006)を経て、2008年に発表した本作で2009年度ピュリッツァー賞(小説部門)を受賞。“ニューヨーカー”など多数の雑誌で短篇を発表している

小川高義[オガワタカヨシ]
1956年生、東京大学大学院修士課程修了、英米文学翻訳家、東京工業大学教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

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ちなぽむ and ぽむの助 @ 休止中

174
アメリカの田舎町を、住む人びとの静かで激動な営みを、オリーヴ・キタリッジというひとりの女性の生活を丹念に織り上げたような作品。13編の短編はそれぞれ時系列も主人公も移り変わり、それらが少しずつゆるやかに繋がっている。それぞれの短編で同じ人物のまったく違う側面をひそやかに暴いてみせたり、寄り添ってみせたり。長年連れ添うということは、綺麗なことだけじゃない。でも誰かと繋がっている人生というのはしみじみと良い。帯にあった推薦通り「これぞ小説」といった重厚な作品。やがて来る別れまで、できるだけ慈しんで生きたい。2019/04/06

藤月はな(灯れ松明の火)

105
血縁関係が濃い、田舎での人々の営みを描いた短編集。全短編に登場する、気まぐれな上機嫌と癇癪を起こして周囲を振り回す、万事、嫌味ったらしく人を批判するのに「絶対的に正しい」と自分だけには甘い、子供を束縛し、子供の妻が気に入らないという理由でその妻の持ち物をゴミ箱に捨てるオリーヴは、今で言うと「毒親」、「悪妻」、「実生活ではなるべく、関わりたくない老女」に当て嵌るだろう。だけど彼女にも夫に真実を突かれた驚愕、息子に拒絶される悲しみ、秘められた不倫未満の恋があったことで一気に愛おしくなるのは、どうしてなんだろう2016/04/12

みみぽん

97
アメリカ東北部の端っこの海辺の小さな町に住む人々。主人公は元教師のオリーブ・キタリッジ。日本ではハッキリ物言う、ブレない初老女性の物語が成立することは中々難しい。しかもこのお話は決して悲劇的ではない。人生において誰しもが通り体験する浮き沈みの波を、時にシュールに哀感を込めて綴っていく。誠実に生きようとするも奥底にある歪み。傷つけ舐めあい、そして助け合う。それこそが私たち人間なのだ。優しい夫、従順だった息子もずっとそのままじゃない。オリーブの怒り、感傷、哀願。親として妻としての切ないほどの感情が胸をうつ。2021/07/27

ずっきん

85
面白いか面白くないかと問われれば、面白かった。正直タルかったんだけど、あとがきにあるように、オリーブが沁みてくるとグングン読んじゃう。好みじゃない題材にくわえ、好みじゃない筆致だったので、残念ながら響かなかったもよう。ところが、オリーブをマクドーマンドが演じていると聞いて、激しくドラマを観たい!と思っている。原作を読むと映像にほぼ興味失くすのに、珍しいこともあるなあ。【マクドーマンド>読んだオリーブ】ってことなんだろうな。映像化やキャスティングの楽しみがちょっとわかったような気がする。2021/01/07

なゆ

84
表紙からのイメージがでんぐり返った。そういう人だったの、オリーヴ・キタリッジって。というか、オリーヴ視点の話もあるにはあるが、ほんのちょっと顔を出すくらいの話も多い。そして、街の人たちにあまり良く思われてないらしい。アメリカ北東部の港町クロズビーに夫と暮らすオリーヴ。夫婦仲もモヤモヤ、愛する息子との間もモヤモヤ、嫁に対してのアレはナニ?たしかに猛獣みたいな女だわね。でも、だんだん口は悪いけど悪い人間じゃないって思えてくる。クロスビーに暮らす人々の人生もいろいろだ。ロマンスめいた終わり方に、早くふたたびへ!2021/07/16

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