内容説明
母と娘のあいだには、甘くも美しくもない秘密がある―気鋭の作家が冴えた筆致で綴る、毒と悪意と、それでも消えぬ愛に彩られた女たちの物語。華麗にして不様、繊細にして無神経、痛々しくも軽やかな19色の母娘模様をご覧あれ。
著者等紹介
カスティヨン,クレール[カスティヨン,クレール][Castillon,Claire]
1975年パリ郊外のブーローニュ・ビヤンクール生まれ。25歳のとき作家デビュー。第2作Je prends racine(2001年)が批評家の注目を集める。第5作Vous parler d’elle(2004年)でフランス文芸家協会が若手の有望作家の作品に与えるティド・モニエ賞を受賞。作家としての地位を確立した。現在はパリ在住
河村真紀子[カワムラマキコ]
大阪外国語大学外国語学部フランス語科卒、フランス文学翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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紅はこべ
84
母と娘の関係に特化した19編。巻頭の表題作のラストに呆然。その衝撃を抱えたまま、毒を含んだ母娘の物語に浸る。男の影は薄い。夫に出て行かれたり、病に侵された母の話が多い。娘に執着、支配する母の話が多いかな。フランスって、女性にもっと自主性独立性があるかと思っていた。2019/10/05
リッツ
29
短編集。トップの表題作のような異常な話が続くのかと思ったが次々現れる母と娘の関係、互いへの思いがすれ違ったり捻れたり、それでも断ちがたい愛があったり。正直言って感覚が違う理解出来ないものもあったが、読み進めるほどにドライな語り口とは反して、哀しく重くなっていった。母を想い娘を想うとき、複雑な気持ちを簡単に上手くは表せない。直線なのに入り組んだ感情、愛情だけでは語れない、が、かけがえのない存在。2019/01/04
魚京童!
15
ドイツの人割合好きだし、なんというか考え方が近しいものがあると思っているけど、フランス人は別人種だよね。何が違うのかな。もろもろ違うけどさ。でもこういうの憧れるよね。憧れてはいけないのかな。時々は読んで、ああ別人種だって実感しないといけないよね。もしかしたら、訳者のくせなのかもしれないけどさ。2019/05/28
ののまる
8
うおおお、この読後感…w 狂気の狭間にあるかのような母娘の短編ですが、でも事実、母と娘の関係はある種、狂っているところもあると思う。でもどんな母親でも娘はどうしても愛しているのが見え隠れして、切ない。2020/02/10
ズー
8
表題作、出だしから半分ぐらいまんま私のことかってぐらいな話でびっくりした。最終的にそんなことするんかーい!逮捕!!!って思うけど。 母と娘をテーマにした短編集。どの話も父の存在がめちゃ薄い。残酷だったり、迷惑だったり、基本綺麗な話はないんだけど、心の闇というか、言ったら顔をしかめられるようなことにスポットライトを当てているような。 独特な味わいで面白かった!2020/02/04