内容説明
世界中の数学者を魅了してきたフェルマーの最終定理の簡潔な証明に挑むスリランカの大学生ランジット―その波乱万丈の人生と、人類をはるかにしのぐ超知性をもった異星人の驚くべき計画を、壮大なスケールで描く長篇。2008年3月に惜しまれつつ世を去ったアーサー・C・クラークの遺作である本書は、クラークがアメリカSF界の巨匠フレデリック・ポールと初めて共作した長篇小説としても話題となった。
著者等紹介
小野田和子[オノダカズコ]
青山学院大学文学部卒。英米文学翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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25
*SF*大学生ランジット。今も世界中の数学者を魅了する『フェルマーの最終定理』の研究に人生を賭ける彼だが、この公式に秘められた謎が、人類を遥かに凌ぐ知性を持つ異星人の、驚くべき計画と密接な関係を持っている。その事実をこの時まだ知る由もなかった―SFの醍醐味は、一種の思考実験、だと思います。技術進歩に対し使用者の人類の進歩が遅れている。その為、技術が生まれる前に恩恵の陰のリスクを事前に考えてみる。この側面性は昨今のクローン(iPS細胞含む)を例にご覧頂ければ分かり易いと思います。本作もクラークらしい好例!2013/02/01
ほそい
5
なんというか老人力に溢れた可愛い小説。中盤以降あっさり度が急激に高まって、放りなげたようなラストになるのはどうか思うが、それでも期待よりは楽しめた。なお、軌道エレベーターをスリランカに設置するための方便は『楽園の泉』を越える驚愕をもたらしてくれる。2010/02/11
SINKEN
4
【総評】★★☆☆☆【感想】色んなSF的要素が登場するものの、それらの関連や必然性が乏しく、ネタの叩き売りのようになってしまっていて残念。タイトルであるフェルマーの最終定理もそれである必要はなく、やはり中途半端な感がある。ついでに言うとラストの展開もイマイチで、全体として低評価とせざるを得ない結果に。後期の(クラークとの)共作は、こうしてみるとやや精彩を欠くものが多い気がする。2018/02/18
sezmar
4
おお、辛めの評価が多い……読了後の感想は過ぎ去りし日々の光(≒ディアスポラ?)で知らないが印象的。お人好しの主人公がとっ捕まり、フェルマーの最終定理について考察、徐々に人生が好転してゆくと同時に進行する人類の危機。自ら招いた災厄により破滅が決定づけられた人類が危機を知らぬまま進歩してゆく過程をまったり楽しむ本?2013/03/15
とぶとり
4
アーサー・C・クラークの作品としては遺作。内容としては共著の悪い面がでていて全体のバランスがイマイチ。2人が書きたいことを盛りこんだだけで、物語の緊張感はあまりない。ただ、軌道エレベーターやソーラーセイル、月面でのスポーツといった懐かしい小道具が楽しい。2010/11/24