内容説明
西暦2083年、超光速粒子推進を実用化したピアノ・ドライブの普及により、人類は太陽系内のすべての惑星に到達していた。観測プロジェクト“クリーンアップ計画”により発見された謎の新天体2075Aの調査のため、深宇宙探査船DSS‐01“ファルケ”が派遣される。船長のブレイドをはじめとする搭乗員たちによる観測によって、この星は24年後に地球に迫り壊滅的な被害をもたらすことがわかった。迫る厄災の報を受けた地球では、様々な対策案が提唱される。ブレイドの姪である12歳の天才少女・風祭魅波はACOM(人工意識コンパニオン)のマイカとともに、天体物理学者である父・良輔が発案・提唱した驚くべき計画の実現を決意するのだった…。著者入魂の本格長篇宇宙SF。
著者等紹介
山本弘[ヤマモトヒロシ]
1956年京都生まれ。洛陽工業高校電子科卒。78年「スタンピード!」で第1回奇想天外SF新人賞佳作に入選。87年、ゲーム創作集団「グループSNE」に参加し、作家・ゲームデザイナーとしてデビュー。2003年『神は沈黙せず』、06年『アイの物語』、08年『MM9』で日本SF大賞候補となり、注目を集める。「と学会」会長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
巨峰
41
超ド級のSF巨編。「プロジェクトぴあの」の続編的立ち位置で、結城ぴあのが発明したピアノドライブに充ちた地球に破壊をもたらす暗黒ブラックホールが忍び寄る。人類は生き残れるのか。三部からなる長大な物語だけれど、その構成であることが必然として納得させられる。細かな設定が結実していく過程がすごいなと思った。2025/03/17
山川欣伸(やまかわよしのぶ)
20
2083年の未来を舞台にした壮大な宇宙SF。超光速粒子(タキオン)推進によるピアノ・ドライブを実用化した人類は、新たに発見された謎の天体2075Aの調査に乗り出した。深宇宙探査船がこの天体を観測した結果、24年後に地球に壊滅的な被害をもたらすことが判明する。印象的なのは、ピアノ・ドライブやACOMといった未来技術の描写だ。これらの技術は、単なるSFのガジェットにとどまらず、物語の核心に深く関わってくる。 地球の未来を賭けた壮大な計画、そして山本弘の緻密な世界観とキャラクター描写が光る一冊だ。2024/10/01
hide
14
「アイの物語」をはじめ、著者の作品に登場するキャラクターが数多く登場するスターシステムを採用した作品。人は信じたいものしか信じない不完全な存在。それでも彼の描く未来はいつも希望が込められている。ベタだからおもしろい。ただ、タイトルはベタで無いほうが良いと思う。2017/10/02
cassyu
13
このベタな題名がらしいって言えばらしいのだけれど、もっとヒットしても良かったのでは?と思わされる山本節。この本の文庫版の印税は全額寄付(元本はこの通り震災よりずっと前の発売ですが^^;)されているそうなので、文庫版を購入決定。そして、この話の前日譚が先月(2014/08)発売されているのでそちらも読みたい本に追加します♪2014/09/01
rosetta
11
★★★★★2段組430頁、読み応えあった~。自分には丁度いい塩梅のハードSF。これ以上ハードになるとついていけなくなるwエネルギーを使わないピアノ・ドライブ、AI(人工知能)を超えたAC(人工意識)を備えたコンパニオンACOMを誰もが持つ時代。今よりおよそ100年ほどの未来。巨大な質量を持つ遊星が地球の傍を通過する。壊滅的な被害から地球を救おうと奮闘する人々。一方で遊星なんか存在しない、或は神の試練として避けてはいけないと唱えるカルト。あらゆる面から緻密に描かれたまるで大河ドラマのよう。大満足。2019/01/03