ハヤカワepiブック・プラネット
ロジー・カルプ

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ B6判/ページ数 352p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784152089687
  • NDC分類 953
  • Cコード C0097

内容説明

カリブ海に浮かぶリゾート島、グアドループに降り立った子連れの妊婦、ロジー・カルプ。彼女はフランス本土での暮らしに疲れ、成功を収めている兄ラザールを頼ってこの島に流れ着いたのだ。しかし、空港に迎えに来るはずの兄は一向に姿を現さない。なぜ身内からさえ、こんな仕打ちを受けなくてはいけないの?彼女の苛立ちは募った。やがて、息子のティティがぐずり始めた頃、身なりのよい黒人青年ラグランがロジーに声をかける。青年は、兄の代理で迎えに来たのだという。ロジーとティティは青年の真新しいトヨタのピックアップに乗りこみ、新たな生活への第一歩を踏み出すが…。フランス最高峰のフェミナ賞受賞。

著者等紹介

ンディアイ,マリー[ンディアイ,マリー][NDiaye,Marie]
小説家、劇作家。1967年、フランス中部ピティヴィエで、セネガル人の父とフランス人の母の間に生まれる。1985年に十七歳の若さでデビュー作Quant au riche avenirを老舗文芸出版社ミニュイより刊行。その後も順調に作品を発表し評価を高めていった。2001年に『ロジー・カルプ』でフェミナ賞を受賞。2009年には、Trois femmes puissantesでゴンクール賞の栄誉に輝いた。ベルリン在住

小野正嗣[オノマサツグ]
作家、翻訳家。パリ第8大学にて文学博士号取得。明治学院大学専任講師。主な著書に『水に埋もれる墓』(第12回朝日新人文学賞)、『にぎやかな湾に背負われた船』(第15回三島由紀夫賞)など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

藤月はな(灯れ松明の火)

61
苦痛で目を背けたくても背けられないような息苦しさと欺瞞が募る家族小説。『ファーゴ』や『マジカル・ガール』のように「どうしてこんなことになった」というような自分の中にもある愚かさと醜悪さを映し出したような人々が延々と描かれるからだ。愛情を注がれずに虚無を湛えていたティティが大人になってからロジーを軟禁状態にし、他者との交流を制限するようになる場面は今だからこそ、誰でも起こり得る子供の親への復讐の一端を垣間見てゾッとする。そして若返りつつあるロジーの母の最後の一言の悲惨さがより、恐怖を掻き立てる。2016/05/20

mejiro

9
なんとも言えない読み応えだった。愛情のない冷淡な家庭で育ったロジー。彼女は自尊心が低く無気力で、男に弄ばれたあげく捨てられる。子どもを抱え、助けを求めて兄に会いに行くが、出迎えたのはなぜか兄の知人だった…。こう書くとよくある不幸な家族小説だが、とにかく一筋縄でいかず、風景や人物が歪んでいる。化け物じみた母親、黄色、孕んだ腹など、なにかを暗示してそうと思うものの分からずじまい。 奇妙とリアル、フィクションの混じり具合が独特で、つかみどころがない小説だった。 2017/12/05

jamko

5
長らく積んでいたうちの一冊で、手を出すのにも時間がかかったけど読み通すのもなかなか大変であった。現実と妄想の境界線が揺らぐ世界観は蜃気楼を見てるよう。ひたすらに利己的でありながら賢さのかけらもない彼らファミリーの物語はひたすらに息苦しい。とにかく独特な世界だった。短編集『みんな友だち』をまた読み返したい。2015/08/01

きゅー

4
百数十ページ読んだところでギブアップ。読みづらい物語ではないけれど、出てくる登場人物がすべて最低な人間で、これ以上読み進めるモチベーションが湧かない。同情に値するような人間がゼロで辛すぎ。2015/03/02

soran

2
眩暈がするような作品。本当に独特の語り口。語りの視点が自在に変化し、しかも「語りを語っている」かのような二重性やねじれが随所に見られる。それでいて物語の流れはは綻びなくスムーズで、一気読みしてしまった。なんという登場人物たちなのだろう。なんというイマジネーション。ひたすら情念に絡め取られて自分たちの感覚世界を突き進む彼らの物語にずぶずぶはまりこんでしまう。すごい筆力!ロジーもだけど、導入部では陳腐な小市民的だった両親の変貌、特に「カルプの女」と呼ばれる母親の怪物的変容が凄い。最後のシーンなんぞ忘れがたく物2010/05/22

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/465694
  • ご注意事項