内容説明
死の直前に書き上げていたスピーチ原稿、ドレスデン大空襲の体験を語ったエッセイ、未発表短篇10篇などを、著者自筆イラストとともに収録。
目次
カート・ヴォネガット上等兵が家族に宛てた手紙
二〇〇七年四月二十七日、インディアナポリス、バトラー大学のクラウズ・ホールにおけるカート・ヴォネガット
悲しみの叫びはすべての街路に
審判の日
バターより銃
ハッピー・バースデイ、一九五一年
明るくいこう
一角獣の罠
無名戦士
略奪品
サミー、おまえとおれだけだ
司令官のデスク
追憶のハルマゲドン
著者等紹介
浅倉久志[アサクラヒサシ]
1930年生、1950年大阪外国語大学卒、英米文学翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
サトシ@朝練ファイト
34
ドレスデンの空襲に関して、これほどのものだとは全く知らなかった。東京大空襲もしかり。2015/07/05
chanvesa
28
マークの「はじめに」が感動的。2007.4.27のスピーチはどう受け取られたのだろうか?ヴォネガットのファンは喜んだと思うけど、何にも知らない人は戸惑う内容だと思う。仮にヴォネガットがスピーチしたとしても、反応に困った聴衆を前に彼はどう思うのだろうか。この本の小説には、しばしば略奪がテーマとして出てくる。生き延びるために倫理的にダメとわかっていてもせざるを得ないという状況。それは「明るくいこう」のルイスから、「略奪品」のポールまで。ドレスデンの空爆と対比ではなく、そのレンジそのものが「戦争」なのだろう。2016/09/19
R
20
ユーモアのきいた皮肉を読ませる珠玉の短編集でした。遺稿を集めたものなので、破天荒なスピーチ原稿なんかも混ざっていて、どれもこれも、切れ味鋭く、嫌いなものを批判しきっていて小気味の良い内容でした。自身の経験からくる、二次大戦中の捕虜という立場の小説は目を開くようなものがあり、勝者の醜さ、敗者の哀れ、それを少し離れてみることができる立ち位置が魅力的な語り口でした。戦争が嫌いという、強烈なメッセージを笑いにのせて伝えられて、気づくとじっと考えさせられてしまう力を感じました。2016/08/13
roughfractus02
9
第二次大戦時上等兵だった作者の家族宛の手紙と最後の講演草稿を冒頭に並べた本書には後世の批評が窺える。戦争の状況を伝える文と講演での皮肉で笑いを引き出す文の並びには、味方に空爆されて戦争そのものが自分に襲いかかるドレスデン爆撃を境に変貌した作者の文体の軌跡を、当の爆撃の様子をまざまざと伝えた次のノンフィクション「悲しみの叫びはすべての街路に」までの3作で一望できる構成に見えるからだ。その後表題作品で締め括られる本書は、この悲惨な出来事に耐えるために作者が物語と笑いを必要としたことを読者に訴えかけてくる。2023/07/07
どらがあんこ
5
戦争が多く描かれているが、ヴォネガットが描くとなんだか暖かさがあるのだった。少しづつ読むと良い。2021/02/03