プラチナ・ファンタジイ
英国紳士、エデンへ行く

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  • サイズ B6判/ページ数 574p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784152088697
  • NDC分類 933
  • Cコード C0097

内容説明

1857年ヴィクトリア朝英国、科学的な地質研究によって、信仰のよりどころの危機にさらされた牧師ウィルソンは独学で地質学を修得。“エデンはタスマニアにある”という新説を発表し、キリスト教世界における時代の寵児となる。ついには、医師ポッターと植物学者レンショーを引き連れて、タスマニアへ実証の旅に出発する。だが、一行がチャーターした“シンセリティ”号は、船長をはじめ、英国人を目の敵にするマン島人だけが乗り組むいわくつきの帆船。そのため、税関吏との数々のトラブルに巻き込まれたり、海賊に襲撃されたりと波瀾万丈の船旅が続く。さらに、性格が水と油の牧師と医師の対立は、旅程を追うにつれ、激化する一方。地球をほぼ半周はる珍道中が繰り広げられるのだった。一方、英国による植民地化が緒についたばかりの1820年のタスマニアでは、同化政策が積極的に進められていた。アボリジニの母親と白人の父親のあいだに生まれたことから、母親やアボリジニ社会から疎まれて育ったピーヴェイは、種族の存続のため、白人の言葉を覚え、白人社会に入り込もうとしていくが…。やがてウィルソンら一行はタスマニアに到着し、ついにエデンを目指すべく探検に出発する。そこには、ガイドとして彼らに随行するピーヴェイの姿があった。一行が英国から遙か東の果ての地で目にしたものとは…。博覧強記の作者ニールが、綿密な時代考証のもと、総勢20人の語り手を創造し綴った歴史奇想大作。2000年度ウィットブレッド賞受賞。

著者等紹介

ニール,マシュー[ニール,マシュー][Kneale,Matthew]
1960年ロンドン生まれ。オックスフォード大学のモードリン・コレッジで近代史を学んだニールは、卒業後、日本で英語教師として1年間を過ごし、その間に短篇小説を書き始める。これまで、5作の長篇と、中篇、短篇集をそれぞれ1作発表しており、日本を舞台にした第一長篇Whore Banquets(1987/2002年にMr.Foreignerと改題)で、サマセット・モーム賞を受賞。第二長篇Inside Rose’s Kingdom(1989)を経て、1840年代ヴィクトリア朝ロンドンを舞台にした第三長篇Sweet Thames(1992)を発表。2000年、同じくヴィクトリア朝英国を時代背景とした本書『英国紳士、エデンへ行く』を刊行。英国ユーモア小説の伝統に、ポスト・コロニアリズムを盛り込んだ意欲的な作品で、英国文芸界から絶賛を浴び、ウィットブレッド賞を受賞する

宮脇孝雄[ミヤワキタカオ]
1954年生、早稲田大学政治経済学部卒、英米文学翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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