内容説明
1999年英国、著名な歴史ノンフィクション作家スチュワート・グラットンのもとに、第二次世界大戦中に活躍した空軍大尉J・L・ソウヤーの回顧録のコピーが持ちこまれる。グラットンは、次作の題材として、第二次大戦中の英国首相ウィンストン・チャーチルの回顧録のなかで記されている疑義―英空軍爆撃機操縦士でありながら、同時に良心的兵役拒否者であるソウヤーなる人物(いったい、そんなことが可能なのか?)―に興味をもっており、雑誌に情報提供を求める広告を出していた。ソウヤーの回顧録を提供した女性アンジェラ・チッパートン(旧姓ソウヤー)は、自分の父親は第二次大戦中、爆撃機操縦士を務めていたと言う。果たして、彼女の父親はほんとうにグラットンの探しているソウヤーなのだろうか?作家の棲む現実から幕を開けた物語は、ジャックとジョーという同じイニシャル(J)をもった二人の男を語り手に、分岐したそれぞれの歴史の迷宮をひたすら彷徨していく…。稀代の物語の魔術師プリーストが、SF、ミステリにおける技巧を縦横無尽に駆使して書き上げた“もっとも完成された小説”。英国SF協会賞/アーサー・C・クラーク賞受賞作。
著者等紹介
プリースト,クリストファー[プリースト,クリストファー][Priest,Christopher]
1943年、英国イングランドのチェシャー州生まれ。16歳でマンチェスター市の公立学校を卒業した後、会計事務所に勤めるかたわら、SFの創作を始め、66年に短篇“The Run”を発表してデビュー。68年にフルタイムの作家となり、70年に第一長篇『伝授者』を上梓する。74年発表の第三長篇『逆転世界』で、英国SF協会賞を受賞。アメリカではヒューゴー賞の候補となり、一流作家の仲間入りを果たす。95年、ヴィクトリア朝を舞台に、ふたりの天才奇術師の対決を本格ミステリ仕立てで描いた傑作『奇術師』(ハヤカワ文庫FT)で世界幻想文学大賞を受賞。日本でもSF/ミステリ両ジャンルのみならず、海外文学愛好家からも高い評価を受けた。2002年に発表された『双生児』は、英国SF協会賞とアーサー・C・クラーク賞を受賞、名実ともに現代の英国SF/ファンタジイ界を代表する作家である
古沢嘉通[フルサワヨシミチ]
1958年生、1982年大阪外国語大学デンマーク語科卒、英米文学翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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NAO
藤月はな(灯れ松明の火)
ぐうぐう
バ度ホワイト
kinka