内容説明
南アメリカの西、およそ1000キロ沖に位置するガラパゴス諸島。ながらく人の手が入ることのなかったこの楽園は、島ごとに独自の進化をとげた特異な動物相・植物相に溢れ、ダーウィンが進化論を着想するきっかけとなった。そんなガラパゴスの特徴的な動物の一つがゾウガメだ。だが、近海で操業する捕鯨船に数世紀にわたって食糧として乱獲され、ゾウガメは激減する。なかでもピンタ島では、20世紀初頭に標本にされた数頭を最後に、姿を消したと思われていた。しかし、1971年、偶然一頭のオスが発見される。保護されたそのゾウガメは、その孤独な身の上と世捨て人を思わせる風情から、「ロンサム(ひとりぼっちの)・ジョージ」と呼ばれるようになった。以来、ジョージは現在にいたるまでガラパゴスの観光の目玉、自然保護のシンボルとして、世界じゅうの人々に愛されている。だが、ジョージの来し方を辿り、生物学的特徴を検証すると、彼の驚くべき真実が明らかになる…。歴史とDNAに刻まれた「過去」から、最先端の生物学によって創造される「未来」まで、そして、小さな島の生態系から世界的な環境問題まで、一頭のゾウガメをめぐって自在なスケールで語られる人と自然の物語。
目次
プロローグ 自然保護の象徴
発見
ロンサム・ジョージのガールフレンド
種の起源はどこに
進化の海を漂う
人間という罠
ナマコ戦争
ピンタ島の謎
連れ去られた仲間たち
島へ帰る日
生命への介入
クローンとキメラ
著者等紹介
ニコルズ,ヘンリー[ニコルズ,ヘンリー][Nicholls,Henry]
1973年生まれ。ケンブリッジ大学を卒業後、シェフィールド大学にて進化生物学を専攻して博士号を取得。現在、イギリスの科学ジャーナリスト、科学雑誌編集者として活躍し、ネイチャー誌、ニュー・サイエンティスト誌、インディペンデント紙などに精力的に寄稿している
佐藤桂[サトウケイ]
翻訳家。上智大学文学部英文学科卒業(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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