内容説明
出版社を経営するエドガー・ブラッカーが放火により殺された。彼は歯に衣を着せぬ物言いで作品を批判したり、出版の約束を反故にするなどして作家たちから恨みをかっていた。容疑者は12人、アマチュア作家の集まり“チチェスター作家サークル”の面々に絞られた。無実を訴えるメンバーの身辺を、サークルの新入りであるボブ・ネイラーは調べ始めるが、まもなく第二、第三の犠牲者が…。ラヴゼイが円熟のトリックを施した、極上の本格ミステリ。
著者等紹介
ラヴゼイ,ピーター[ラヴゼイ,ピーター][Lovesey,Peter]
1936年、英国ミドルセックス州ウィットン生まれ。ヴィクトリア朝期の警察官を主人公にしたクリッブ&サッカレイ・シリーズや、英国皇太子アルバート・エドワードを主人公にしたシリーズなど、人気のシリーズを次々と発表。現在は、武骨で昔気質の刑事、ダイヤモンド警視を主人公にした現代物で人気を集め、同シリーズの『バースへの帰還』『猟犬クラブ』がCWA(英国推理作家協会)賞シルヴァー・ダガー賞を受賞している。単発作品も高い評価を得ており、『偽のデュー警部』でCWA賞ゴールド・ダガー賞を、『マダム・タッソーがお待ちかね』で同シルヴァー・ダガー賞を受賞している
山本やよい[ヤマモトヤヨイ]
同志社大学文学部英文科卒、英米文学翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
黒猫
14
家にあるラヴゼイ作品より。素人物書きサークル内での殺人事件。最初に殺されるのはサークルに講演にきた出版社の男。こいつが曲者で、サークル内のメンバーが疑われる。サークルの見学に来ていたボブ、後半はヘン・マリン警部(上に立つ女性はこのくらい強くなければ男になめられてしまうのだろうな)が活躍する。ダイヤモンド警部が出ないのは残念だが、ちょっと笑えるラストを含め安定の面白さでした。2022/07/14
bapaksejahtera
9
ダイヤモンド警視は作品の半ばでホンの顔見世をするが、本作はシリーズ番外篇。イギリス南部の小都市にある文学サークル。ここに集う会員は自作を持ち寄って批評し合うのだが、そこに本作の主人公。バンの運転を業とし韻律を整えた詩作を趣味にする男がオブザーバーで加わる。その直後この会に招かれ講演をした出版社の男が放火で殺され、会長が嫌疑を受けて逮捕される。主人公は他の会員に促され真相の究明に加わるのだが..。ダイヤモンドシリーズと同様の軽快なタッチで始まり軽いユーモアとともにスムーズに進行する。やはりラヴゼイは宜しい。2021/04/30
J・P・フリーマン
9
出版社社長が放火殺人の餌食になる。容疑者は、殺害される前日に顔を合わせた作家サークルの面々。サークルメンバーは独自に事件の調査に乗り出したり、殺人事件を作品化しようとしたりと警察も手を焼く事態に。黄金期をほうふつとさせる骨太なミステリです。2018/03/23
橘
9
ある悪徳出版社経営者が殺害された。容疑者はアマチュア作家サークルのメンバー12名!個性派揃いのメンバーからは素人探偵役まで現れて、それぞれの思惑から好き勝手に動き始める。容疑者が多過ぎるなか、犠牲者ばかり増えていく!犯人は?動機は?…最後までミステリらしい正統派。2018/02/17
ちえり
8
【図書館本】長編海外ミステリ。久しぶりに途中で飽きることなく読了できました。登場人物(容疑者)が多くて名前を覚えられない。お約束と言うか、でしやばりの素人探偵気取りの女がうざいけど、女刑事のほうは許せるな。いらんことしないし。それにしても…放火って怖い。こう言う手口でやられたらどうしたらいいのだ?どうやらシリーズものの番外編らしいです。そっちのシリーズ読んでみたいな。2023/05/01