内容説明
1519年、新大陸の地に降り立ったスペインの征服者たちは、市場を埋め尽くす鮮やかな赤に目を奪われた。光り輝く色彩はまさに生命の炎であり、魂を揺さぶる情熱の色。これこそヨーロッパの人々が、そして彼らの王が権威の象徴として求めた完璧な赤だった。この色をヨーロッパに持ちこめば巨額の利益を生む―スペイン人たちは製法から原料・産地にいたるまでを国家機密とし、完全なる秘密主義を貫いた。そのため18世紀まで原料の正体すら明らかにならず、イギリス、オランダ、フランスなど各国は躍起になってスペインの輸送船団を襲撃させ、新大陸にスパイを放った。市民のなかには正体をめぐって全財産を賭けた大博打に出る者まで現われた。はたしてその正体は、植物の根?種?花?それとも動物の糞か、虫か?国家も民衆も翻弄し、ヨーロッパ全土を競争へと駆り立てたその染料の名はグラナ。現在ではコチニールとして知られ、身近な食品や自然派化粧品などに使われている。大航海時代から現代まで脈々と受け継がれてきた新大陸の秘宝をめぐる息もつかせぬ歴史ロマン・ノンフィクション。
著者等紹介
グリーンフィールド,エイミー・B[グリーンフィールド,エイミーB][Greenfield,Amy Butler]
フィラデルフィア生まれ。オックスフォード大学でルネッサンス期のヨーロッパ、スペイン帝国、植民地時代のラテン・アメリカについて学んだ。祖父と曽祖父が染物職人だったこともあり、早くから染色と色の歴史に関心があったという。赤という色が巻き起こした欲望の歴史、4世紀以上におよぶ謀略の物語を描いた『完璧な赤―「欲望の色」をめぐる帝国と密偵と大航海の物語』は、全米ペンクラブのノンフィクション部門最優秀新人賞を受賞、また2005年のワシントン・ポスト・ベスト・ブックに選ばれている
佐藤桂[サトウケイ]
翻訳家。上智大学文学部英文科卒業(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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