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完璧な赤―「欲望の色」をめぐる帝国と密偵と大航海の物語

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  • サイズ B6判/ページ数 390p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784152087706
  • NDC分類 753.8
  • Cコード C0022

内容説明

1519年、新大陸の地に降り立ったスペインの征服者たちは、市場を埋め尽くす鮮やかな赤に目を奪われた。光り輝く色彩はまさに生命の炎であり、魂を揺さぶる情熱の色。これこそヨーロッパの人々が、そして彼らの王が権威の象徴として求めた完璧な赤だった。この色をヨーロッパに持ちこめば巨額の利益を生む―スペイン人たちは製法から原料・産地にいたるまでを国家機密とし、完全なる秘密主義を貫いた。そのため18世紀まで原料の正体すら明らかにならず、イギリス、オランダ、フランスなど各国は躍起になってスペインの輸送船団を襲撃させ、新大陸にスパイを放った。市民のなかには正体をめぐって全財産を賭けた大博打に出る者まで現われた。はたしてその正体は、植物の根?種?花?それとも動物の糞か、虫か?国家も民衆も翻弄し、ヨーロッパ全土を競争へと駆り立てたその染料の名はグラナ。現在ではコチニールとして知られ、身近な食品や自然派化粧品などに使われている。大航海時代から現代まで脈々と受け継がれてきた新大陸の秘宝をめぐる息もつかせぬ歴史ロマン・ノンフィクション。

著者等紹介

グリーンフィールド,エイミー・B[グリーンフィールド,エイミーB][Greenfield,Amy Butler]
フィラデルフィア生まれ。オックスフォード大学でルネッサンス期のヨーロッパ、スペイン帝国、植民地時代のラテン・アメリカについて学んだ。祖父と曽祖父が染物職人だったこともあり、早くから染色と色の歴史に関心があったという。赤という色が巻き起こした欲望の歴史、4世紀以上におよぶ謀略の物語を描いた『完璧な赤―「欲望の色」をめぐる帝国と密偵と大航海の物語』は、全米ペンクラブのノンフィクション部門最優秀新人賞を受賞、また2005年のワシントン・ポスト・ベスト・ブックに選ばれている

佐藤桂[サトウケイ]
翻訳家。上智大学文学部英文科卒業(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

kasim

27
かつて家庭科の授業で、お菓子や口紅の赤い色の元がこれだと知り愕然としたカイガラムシ、コチニール。アステカで大切にされていたこの色素はやがて銀とともにスペイン王国の富を支える。他の欧州諸国は海賊と化し、正体も分からないままこれを奪おうと躍起になる。面白いのは、虫だというスペイン情報を他国が「嘘でわざと攪乱するためのフェイクニュース」と考えてなかなか信じないこと。その後大勢のスパイが涙ぐましい努力で持ち出そうとするも、か弱いコチニールはなかなか移動できない。何だか蚕みたい。2022/04/28

うさみみ

8
16世紀にスペイン人が新大陸で手に入れた『完璧な赤(の染料)』をめぐる歴史ノンフィクション。赤は昔から貴重で特別な色だったようで、正に金のなる木である染料コチニール。赤を手に入れる為、赤を守る為、翻弄される人々の姿が本当にドラマチックで面白い*^^*!コチニールを盗む為、ハイチに潜入した密偵テイリーの話だけでも映画になりそうな感じです。また、こんなに求められたコチニールですが、皮肉にもある理由から栽培していたメキシコの、いくつかの町では『コチニールは悪の根源』と言われていたようで、興味深く感じました。2015/07/05

スプリント

6
赤い染料をめぐる壮大な歴史物語です。大国の栄枯盛衰に翻弄されるコチニールと化学染料の勃興に興味が惹かれました。2017/07/31

マゼンタシアン

3
中世における赤色染料の重要さがよくわかる。そしてその「赤」に翻弄される王様や、染色家や、冒険家や、博物学者や.... みなが追い求め幻想の果て作り上げた植物「コチニール」...ほんとはムシ... 読みやすく面白い! ノンフィクションだが フィクションを読んでいるように世界観に入り込んで読めた。 2017/08/20

takazou

3
名高いカール5世、フェリペ2世らの国家財政と新大陸経営の詳細、イギリス、フランスとの関係、さらには中世以降の色と身分・階級の関係など、学校の世界史ではわからない、または簡単に流されてしまった事柄が、裏の事情まで分かって、そちらの方が、染料をめぐる争いよりも楽しめた。2013/07/27

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