内容説明
イタリアで成功した一族の長男が帰ってくる!トルコで薬局を営むセンパッドを長とする裕福なアルメニア人大家族は、別荘の「ひばり館」で長男を歓待する準備を進めていた。だが、軍が密かに進めていた恐るべき計画が、久しぶりの再会の前に立ちはだかる。突然、アルメニア人男性は全員警察に出頭するよう命令がくだり、家族の将来には暗雲がたれこめる―1915年、トルコ政府によって行われた大虐殺から奇跡の生還をはたした者たちを描いた真実の物語。イタリア・ペンクラブ賞受賞作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
星落秋風五丈原
5
ジェノサイドといえば大体一番に想い浮かぶのがナチスドイツによるユダヤ人虐殺。しかし著者の祖父に連なるトルコのアルメニア人虐殺は、長いこと語られてこなかった。毒ガスが使われたわけではなく、男達が先に殺され女達は餓死するのを承知で行進させたという。どの民族が優れどの民族が劣っているなど、誰も決めてはいないのに。2014/01/25
りんふぁ
1
トルコ人による、アルメニア人虐殺の話。ユダヤ人虐殺よりも前に、こういうことがあったとは。知らなかったことにただ唖然としてしまった。2014/02/13
たみき/FLUFFY
1
イタリア映画祭で観た「ひばり農園」とは、ちょっと違っているけど静かな語り口の中に言い様もない不条理さが見え隠れしています。2008/06/16
Arte
0
アルメニア人虐殺を主題にした数少ない本の1つ。トルコの地方の街で、薬剤師として財をなした男と、その兄弟姉妹、妻、子供達を襲ったジェノサイドを描いている。男は呼び出して殺し、残った女子供は移住させると称して、食糧を与えずに移動を強制し、最後は砂漠に追いやって消耗死させるというのは、実に効率的なやり口で恐ろしい。題名がそれらしくないし、登場人物が多過ぎて分かりにくいかと思ったが、きちんと書き分けされていて、どういう背景を元にどのように虐殺が進んでいったかが分かり、かつ冒険要素もあって読みやすかった。お勧め。2017/05/13