内容説明
海底に沈没した昔の客船や軍艦に潜り、冒険の証として磁器、海図、舵輪などの遺物を持ち帰るレック・ダイビング―それは血液が窒素で泡立つ減圧症、船内に閉じこめられる、潮に流されるなど、幾通りもの死に方が準備されている危険なレジャー・スポーツだ。1991年、屈指のレック・ダイバー、チャタトンとコーラーがニュージャージー沖の海底に発見したのは、紛れもなく第二次世界大戦時のUボートだった。司令塔は外れ落ち、船体には穴が空き、大量の人骨が泥に埋もれている。だが、どの資料を見ても、その海域ではUボートの沈没はおろか、船舶事故すら起こっていないという。歴史から忘れられた“U‐Who”に興味津々のダイバーたちは謎を解く鍵を求めて深海を目指すものの、水深70メートルの苛酷な環境下、死傷者が続出する。また、発見したいくつかの遺物を手掛かりに、内外の海事専門家を訪ねてまわるものの、艦名すら杳として知れない。他のダイバーたちが恐れをなして去っていくなか、“U‐Who”に潜り続けるチャタトンとコーラーは、その潜水艦の乗組員たちに道義的責任を感じはじめていた。彼らは誰なのか、なぜそこで人知れず生涯を終えなくてはならなかったのか、解明せずに終わるわけにはいかない―。命を賭して潜入した“U‐Who”最後の危険区域で、二人は歪められた歴史の形を見ることになる。深海に待ち受ける危険に息をのみ、陸上での地道な調査に好奇心を刺激され、ダイバーたちが織りなす人間ドラマに胸が熱くなる、冒険と感動に満ちたノンフィクション。
目次
秘密の数字
視界ゼロ
威力を秘めたかたち
ジョン・チャタトン
常識はずれの深さ
リッチー・コーラー
ホーレンブルクのナイフ
該当する潜水艦なし
大きな犠牲
ゆがめられた歴史
届かなかったシグナル
戻らぬ覚悟
試練のとき
逆戻りする魚雷
捨て身の計画
著者等紹介
カーソン,ロバート[カーソン,ロバート][Kurson,Robert]
シカゴ郊外に育ち、ウィスコンシン大学で哲学の修士号を取得後、ハーバードで法律を学ぶが、物書きになる夢を追い“シカゴ・サンタイムズ”に入社。同社の記者時代に“エスクワイア”に寄稿した記事が全米雑誌賞の候補作に選ばれる。その後“シカゴ”を経て、現在は“エスクワイア”で記者・編集者として活躍。他に“ローリング・ストーン”、“ニューヨーク・タイムズ・マガジン”などにも寄稿している
上野元美[ウエノモトミ]
翻訳家
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