内容説明
父と子の葛藤はなぜ繰り返されるのか?人間の自由な心とは何か?瑞々しい新訳で甦るスタインベック文学の集大成。妻キャシーが家を去り、失意の深い底に沈んだアダム。賢明な中国人の召使リーによってトラスク家の生活は守られていたが、アダムの心は楽園への夢から遠く離れ、生まれてきた双子さえ目に入らないまま長い年月が過ぎた。だがやがて、自らの死期を悟ったサミュエルは、凍てついた友人の心を絶望から救うためキャシーの邪悪な真実を明かしてしまう…。一方、双子は父親の愛なく思春期を迎えた。愛らしく純真なアロンとひねくれ者のキャル。町育ちの美しい少女アブラと仲睦まじくなっていくアロンを横目に、孤独なキャルは自分でも分からない何かを探し求め、深夜の街を徘徊しはじめる―ジェームズ・ディーンを一躍スターダムに押し上げた名作青春映画の原作。
著者等紹介
スタインベック,ジョン[スタインベック,ジョン][Steinbeck,John]
1902‐68。作家、脚本家。カリフォルニア州サリーナスに生まれる。スタンフォード大学在学中から小説家を目指す。『トティーヤ平』(’35)で一躍脚光を浴び、『二十日鼠と人間』(’37)など次々と問題作を発表した。ユートピアを求め西部へと移住する労働者家族を描き、ピュリッツァー賞を獲得した『怒りの葡萄』(’39)は一部の州で発禁となるなど賛否両論の激論を呼び、空前の大ベストセラーを記録。52年発表の『エデンの東』では、自らの一族の歴史を下敷きに、父と子の葛藤のドラマを壮大なスケールで描き上げ、著者の文学的名声を確固たるものにした。『エデンの東』第4部をベースにしたエリア・カザン監督、ジェームズ・ディーン主演の映画も名作として知られる。62年には長年の功績に対しノーベル文学賞が授与されている
土屋政雄[ツチヤマサオ]
1944‐。英米文学翻訳家。原文に忠実かつ流麗な訳文にファンが多く、作家、評論家の間でも高く評価されている
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