エデンの東〈下〉

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  • サイズ B6判/ページ数 493p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784152086334
  • NDC分類 933
  • Cコード C0097

内容説明

父と子の葛藤はなぜ繰り返されるのか?人間の自由な心とは何か?瑞々しい新訳で甦るスタインベック文学の集大成。妻キャシーが家を去り、失意の深い底に沈んだアダム。賢明な中国人の召使リーによってトラスク家の生活は守られていたが、アダムの心は楽園への夢から遠く離れ、生まれてきた双子さえ目に入らないまま長い年月が過ぎた。だがやがて、自らの死期を悟ったサミュエルは、凍てついた友人の心を絶望から救うためキャシーの邪悪な真実を明かしてしまう…。一方、双子は父親の愛なく思春期を迎えた。愛らしく純真なアロンとひねくれ者のキャル。町育ちの美しい少女アブラと仲睦まじくなっていくアロンを横目に、孤独なキャルは自分でも分からない何かを探し求め、深夜の街を徘徊しはじめる―ジェームズ・ディーンを一躍スターダムに押し上げた名作青春映画の原作。

著者等紹介

スタインベック,ジョン[スタインベック,ジョン][Steinbeck,John]
1902‐68。作家、脚本家。カリフォルニア州サリーナスに生まれる。スタンフォード大学在学中から小説家を目指す。『トティーヤ平』(’35)で一躍脚光を浴び、『二十日鼠と人間』(’37)など次々と問題作を発表した。ユートピアを求め西部へと移住する労働者家族を描き、ピュリッツァー賞を獲得した『怒りの葡萄』(’39)は一部の州で発禁となるなど賛否両論の激論を呼び、空前の大ベストセラーを記録。52年発表の『エデンの東』では、自らの一族の歴史を下敷きに、父と子の葛藤のドラマを壮大なスケールで描き上げ、著者の文学的名声を確固たるものにした。『エデンの東』第4部をベースにしたエリア・カザン監督、ジェームズ・ディーン主演の映画も名作として知られる。62年には長年の功績に対しノーベル文学賞が授与されている

土屋政雄[ツチヤマサオ]
1944‐。英米文学翻訳家。原文に忠実かつ流麗な訳文にファンが多く、作家、評論家の間でも高く評価されている
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

のっち♬

124
下巻でも父と子の確執が再び扱われる。豊富な教養を身につけた中国人リーが魅力的で、カインとアベルの物語にある"timshel"に対する「道は開かれていて、すべては人間しだい」という解釈は本書の重要なテーマを担っている。サミュエルが別れを告げる場面における星の描き方も印象的で、その優しく照らすような輝きは、死してなお登場人物たちに強い影響を与え続ける彼の存在を象徴しているかのようだ。「人間の魂は、この宇宙の中で美しくも特異な存在です」—彼らを通して自由意志を持った人間を精一杯賛美する著者の想いが伝わってきた。2018/01/29

syota

25
長い物語を締めくくる最後の一言が印象的。終盤の主役キャルがどうしても目立ってしまうが、むしろ親世代のアダム、キャシー、サミュエル、リーといった面々に惹かれるものを感じる。特にキャシーとサミュエルは、正反対のキャラでありながらどちらも人並み優れた能力(善悪は別にして)と、社会生活上大きなハンデになる短所を併せ持っていて、その生き様が読み手を引きつけて止まない。子供のように純粋で不安定なアダムと冷静沈着な召使リーの組み合わせも味がある。群像劇と言ってもいいほど多様な人生の絡み合いに圧倒された。[G1000]2016/11/11

たらお

21
読書に合わせて、ジェームズ・ディーンの同名映画を観る。4部のみを映画にしているが、2時間で収まる物語でないので、感情の飛躍があり、登場人物の誰にも共感できなかった。先に原作読んどいて良かった。映画を先に観たら、絶対原作読もうと思わない。原作ではたくさんの人生、人としての一生、アメリカ人の国民性までもがギュッと詰まっている。それゆえ、読むのにすごく時間がかかった気がする。様々な人物にスポットが当たるので、ストーリーがどうの、主人公がどうのこうのといった物語ではないのだろう。2016/08/20

白のヒメ

21
過酷な環境で生きる登場人物達の人生を通し、作者の信念である「人は生き続けて行く以上、自らを善へと変える努力が絶えず出来るものだ」が表現されている。何度も出て来る「汝能う」や、サムの言葉「生きる振りをし続けるんだ、芝居みたいに。長くやり続ければそれが真実になる」が印象的だ。初読みの「怒りの葡萄」であまりにも深い感銘を受けていたので、だからこそ他の著書に手が伸びなかったのだが、物語のそこかしこに「強く生きよ」のメッセージが変わらずあって、改めて心底この著者に惚れた。素晴らしい。大事に他の著書も追って行こう。2013/10/19

まふ

18
(上下巻の感想は上にて記述)。面白さのあまり映画「エデンの東」を中古で買ってしまった(500円)。これも気になりながら見なかった映画。ただし長い物語の後半部分に絞ったストーリーである。近来にないゴタゴタ感のない読みやすい小説であった。2021/11/02

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