内容説明
「半殺しにして」と突然切り出すお下げ髪の女子中学生。妹が受けたのと同じ苦しみを味わわせてくれ、と乳ガン専門医の殺害を依頼する男。元外科医の殺し屋はクライアントの希望に添った驚愕の方法で依頼を遂行していく。しかし、いつしか自身が大きな陰謀に巻き込まれていることに気づき…。治験、術中死、医療訴訟、慈悲殺、臓器移植―現代医療の暗部を鋭く抉り出した社会派クライム・サスペンス。
著者等紹介
藤村いずみ[フジムライズミ]
1962年生まれ。早稲田大学第一文学部日本文学専攻卒。新聞社および出版社勤務、企業PR・広告制作会社の経営を経て、2002年12月、『ミステリマガジン』に掲載された短篇「コンプライアンス」で作家デビュー。以後、元外科医の殺し屋を主人公にした連作短篇を同誌につぎつぎと発表して好評を博した
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
おたけஐ೨💕🥒🍅レビューはボチボチと…
84
78/100点 元外科医の殺し屋を主人公にした連作短編集。医療訴訟、慈悲殺、臓器移植など現代医療の暗部がテーマに描かれているので、読んでいて考えさせられることも多く興味深かったです。また殺害方法に元医師らしいユニークな方法もあり、その点も面白かったです。ただ、そんなに都合よく事が運ぶのかなとは思うことだらけだし、どんな言葉を尽くしても主人公達のやっている事は悪だということ。最後に語られる殺した死体の臓器リサイクル、怖い怖い。2018/07/02
モルク
61
卓越した手術の腕をもつ元外科医が殺し屋となる連作短編集。医療の暗部が描かれ、依頼された相手を因果応報の手で葬る。若い乳ガン患者の罹患していない方の乳房まで両乳房を切除し通常以上に強い抗がん剤をうち、彼女を実験台にした医師への報復。ベッドにくくりつけ、麻酔なしで胸の筋肉を剥ぎ取り抗がん剤を打って殺害するシーンはグロい。そして全く別と思われていたそれぞれの案件が、ある「組織」の存在によってまとまっていく。臓器売買、リサイクルおぞましい雰囲気の中、謎の組織登場でむしろトーンダウンしたのが残念。2018/09/21
紅はこべ
22
元外科医の殺し屋(復讐請負人)が主人公の連作短編集。最終話でいきなりスケールが大きい話になって戸惑った。今までの話が全て最終話につながる伏線だった。それにしても医者が本気で人を殺そうと思ったら、無敵だな。怖い。2008/10/20
uenos
8
元外科医の殺し屋が主人公で、弁護士を通して依頼を受けて人を殺す。殺される方もなかなかの悪だが、その裏に人間味を感じさせる内容で、各編の最後にちょっとした落ちが付くところが面白い。と思っていたら、最後の展開にもっと驚いてしまった。短編ということで少し物足りなさも感じたが、なかなか面白かった。2018/12/21
ロビー
3
元外科医の殺し屋が、医療の闇を葬るミステリー。随分と都合の良い因果応報が続くと思ったら、偶然ではなかった。それにしても黎明大学病院の医者、突然死&失踪し過ぎだろう(笑)。2011/08/16