内容説明
科学を新時代に導き後世に実利をもたらした世紀の大発明「地質図」。だが、それを完成させた男を待っていたのは、監獄行きの馬車だった…数知れぬ地層観察と類稀な洞察力で、ダーウィンに先んじて聖書の世界観を覆す発見をしたウィリアム・スミス。「地質学の父」と呼ばれる彼の知られざる波瀾の人生を、著者自身の地質学への情熱も豊かに描いた歴史科学ノンフィクション。
目次
北への逃避行
眠りから覚めつつある土地
ウニの化石の謎
公爵と准男爵未亡人
地下の光
サマセットを切りひらく
ヨーク大聖堂からの眺め
スワン亭での着想
客間での口述
壮大な地図を構想する
ジュラ紀をめぐる随想
世界を変えた地図
紳士らしからぬ行為
世紀の大安売り
レビヤタンの復讐
忘れられ、見出された男
博士として栄光を手にする
著者等紹介
ウィンチェスター,サイモン[ウィンチェスター,サイモン][Winchester,Simon]
オックスフォード大学で地質学を学んだのち、雑誌や新聞に寄稿するジャーナリストとして世界中を飛び回る。その後、ノンフィクション作家として書籍の執筆を始め、これまでに歴史、科学、政治など、幅広い分野にわたる著書がある
野中邦子[ノナカクニコ]
東京都生まれ。多摩美術大学絵画科卒。出版社勤務の後フリーの編集者を経て現在は翻訳家
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
まーくん
91
最近読んだ京大鎌田浩毅教授の著書で紹介あり。イングランドの測量技師ウイリアム・スミス。30代で運河建設などの技師として仕事の傍ら調査を続け、1815年、46歳の時、世界で初めての「地質図」(イングランドとウェールズの地質図)を世に出した。それは当時、未だ聖書に捉われていた世界観を覆し、ついにはダーウィンの進化論へと繋がった。また、彼は地質学の基本となる地層塁重の法則と化石による地層の同定法を確立、現代では「地質学の父」と尊称されている。しかし、この伝記によると彼はとんでもなく苦渋の人生を送っている。⇒2023/08/30
春ドーナツ
14
本書の中ほどに、サプライズプレゼントのようにカラー図版がはさまっていて、ウィリアム氏が15年かけて制作した「世界を変えた地図」を拝むことができた。現在ではハザードマップとして地質図が人口に膾炙していると思う。銅版画に彩色をほどこしたスミス氏のUK地図はカラフルで緻密で、芸術作品として鑑賞した。18世紀の貴族ではない偉人の功績は、クロノメーターを発明したH氏と同様、なかなか認められない。産業革命を経て、生活様式が180度ひっくり返って、人々の意識が徐々に開かれるのを待つ。世界はそう簡単には変わらないようだ。2023/08/08
月をみるもの
5
いつか本物を見にいく>スミスの描いた最初の地質図2017/06/29
takao
1
ふむ2021/05/07
(ま)
1
イギリス地質学の父ウィリアム・スミスの波瀾万丈の生涯2020/11/16
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