内容説明
迷宮の世界のごとき仮面舞踏会に出席したしがない青年画家コートリイは、懸命に後援者をつけようとしていた。出席者は、誰もが貴賎を忘れ、歌い踊る…。踊るのは仮装した人々。神話の神々、病人、兵士、道化師、様々な姿に扮した男女が、今宵だけの宴とうかれ騒ぐ。そして、素性も知れぬ相手と淫らに交わる…。淫らに交わる男と女。画家コートリイは、師がモデルの娼婦と激しく抱き合っているのを垣間見た。コートリイもトルコ風の衣装に身を抱んだモデルのレディ・ボウクレアに淫らな想いを抱く。やがて、彼女が姿勢をとりながら語りだしたのは、奇妙な話…。奇妙な話だが、トリスターノには記憶がなかった。麻酔をかけられ、意識を失い、目覚めた時、彼は去勢歌手にしたてあげられていた。歌劇場でトリスターノは名声を得てゆくが、その行手には数奇な運命が…。数奇な運命が人々を呑みこみ、夢幻の物語が無限に紡がれる、妖しく危険な迷宮の世界…。
著者等紹介
キング,ロス[キング,ロス][King,Ross]
1962年、カナダ生まれ。トロントのヨーク大学で英文学の博士号を取得した後、イギリスに渡り、ロンドン大学で18世紀イギリス文学と歴史を学んだ。1995年『迷宮の舞踏会』で作家デビュー。1998年に刊行された第二長篇の『謎の蔵書票』は国内外で高い評価を得た
河野純治[コウノジュンジ]
1962年生、明治大学法学部卒、英米文学翻訳家
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