内容説明
夢を見ない理由、死体に似た街、腐敗してゆく自分、地下室で蠢く父、時の王国におわす神、娼婦工場の太った女、演歌と神秘主義の密接な関係、妄想を媒体にする言語人形―現実の皮が剥がれたときに見え隠れする幻覚妄想恐怖戦慄神秘奇蹟を、ヒステリーの治療過程に見立てて並べてみせた、凄絶作品集。『傀儡后』で宇宙的悪夢を描いて日本SF大賞を受賞した牧野修が虚空の果てに見いだした、厳格なる十三の知恵に耳を傾けたまえ。
著者等紹介
牧野修[マキノオサム]
1958年大阪生まれ。大阪芸術大学芸術学部卒。高校時代に筒井康隆主宰の同人誌『ネオ・ヌル』で活躍後、1979年に“奇想天外新人賞”を別名義で受賞。数年の沈黙ののち、1992年に“ハィ!ノヴェル大賞”を長篇『王の眠る丘』で受賞、同書にて“牧野修”としてデビュー。1996年、特異な言語感覚に満ちたドラッグ小説『MOUSE』で、高い評価を得る。1999年、『スイート・リトル・ベイビー』で、第6回日本ホラー大賞長篇賞佳作を受賞。2002年、『傀儡后』で第23回日本SF大賞受賞
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感想・レビュー
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浮遊
6
私的言語中枢どうなってんの?少し覗かせてくれません?系作家ランカー牧野修による、一度滅茶苦茶に解体した世界をあらゆる手法によって言語で再構築する試みを羅列した短篇集?酷く説明が難しい語彙が全然追いつかない。独自の美意識と言語感覚によって創りあげられた世界は歪なのに蠱惑的、読み進めていくうちにもっと読みたいもっともっともっとといつの間にかまるでアディクト。注釈小説としても非常に高度な「踊るバビロン」は最高にメリーバッドエンドでとにかくおススメ。2017/03/21
itsumiKshi
1
めくるめく、エログロナンセンスの世界。2016/11/26
こもた
1
インキュバス言語はさておき、その他にも泣ける姉弟モノ・ネット掲示板を舞台にした話・本が擬人化された世界で書物狩りが行われる話・クトゥルフパロディ・自殺しようとした女性の意識に入り込んだエイリアン男性のちょっと切ない話・夢を見ることができない男性の話・救世主を産んでくれる女性を探す子供の話・死んだ人が動く街でただひとり生きている少年の話など多種多様なお話が詰まっているので気に入るのが一つはある。はず。おすすめです2016/08/11
Ai
1
刺激的な描写がそそりますが、何より各話で描かれる世界がそれぞれの調和に満ちた世界で、まさに楽園だった。2015/07/16
すずめ
0
インキュバス言語を書いた時、淫語しか考えてなかったんだろーか。それはそうと、演歌の黙示録みたいなバカみたいな話も、最後二つみたいな話もすごい好き。相性良かったみたいです。あと、自分がアニメとか見るタイプのオタクなんで、ホラーとかポルノとかを有害だとして規制する運びはほんと嫌。害が有るも無いもさじ加減だろ!2017/02/13




