内容説明
ロンドンの喧噪を避け、アイルランドの田舎を旅する男は、地図上のとある場所に興味をいだく。宿の主人の警告にもかかわらず、引き寄せられるようにその場所へたどりついた男は、不吉なたたずまいの村を発見した。そのときから、男の身に奇怪なできごとがふりかかりはじめる―。『吸血鬼ドラキュラ』の作者、ブラム・ストーカーを、アイルランドの作家として再評価しようという運動に応えて誕生した、ヴァンパイア・ストーリー4篇。ケルト伝説を下敷きに、ゴシック的荘厳とサイコ的狂気を加味した、正統にして異端なる恐怖、ここに降臨。
著者等紹介
カラン,ボブ[カラン,ボブ][Curran,Bob]
北アイルランド出身の教育心理学博士。歴史と英文学の学位も持つ。現在はBBCの番組などでキャスターを務めるほか、さまざまな分野の文化団体での活動、アイルランド全体への歴史的興味を喚起する旅行企画など、マルチに活躍している
下楠昌哉[シモクスマサヤ]
1968年東京生まれ、上智大学大学院文学研究科博士後期課程修了、英文学者、文学博士。現在、静岡文化芸術大学専任講師
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感想・レビュー
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詩歌
15
苔に覆われた木肌や石垣、森を抜ける小道に糸を巡らす蜘蛛。獲物の悲鳴が糸を滴る雫を揺らし、彼らはやってくる。石碑に刻まれた模様が曖昧になるほどの時間が過ぎても、キリスト教以前から土地に残る記憶は無くならない。忍び寄る気配を感じた時は時遅く、ひと区切りついたとしても、ふとした瞬間臭気を伴って気配は戻ってくるのだ。そして気が付くと肌に残る血の跡が。「序」の大食い義母の昔話が強烈(好き)だったので、最後に読めば良かった。2015/02/10
skellig@topsy-turvy
4
表紙が素敵だなと思ったらSimon Marsdenの作品で納得。2010/06/14
reeree
2
民話調の雰囲気。2008/10/13
タコ星人
1
いわゆるヴァンパイア・吸血鬼の元ネタになった民間伝承を現代風(20世紀)にアレンジした短編集。現代といっても、舞台がド田舎なので現代感が一切せず、これもまた古い民間伝承の一つ、ゴシックホラーとして読んでしまいました。ところで『乾涸びた手』に似た話を過去に読んだか観た記憶があるのですが、結局思い出せず。うーん。2022/08/08
ぐだぐだ
0
恨みとか憎悪とかじゃなく、欲と生のため。どんよりした重たさは西洋だよね。2016/10/30
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